乙武氏が「全敗」防ぐ最後の砦?
日に日に焦りを強める自民党議員たちを尻目に、首相は衆院解散や自身の総裁選再選に前向きだとみられている。首相の今後の解散シナリオや政局を左右するのが、4月の3補選だ。
「自民は、『あんた、頭悪いね』の発言で炎上した谷川弥一氏の選挙区だった長崎3区では候補者を立てずに不戦敗。島根1区には新顔の元財務官僚、錦織功政氏を擁立しましたが、立憲の亀井亜紀子氏は元職で、保守層にも食い込んでいます。実際に情勢調査で錦織氏は亀井氏に差をつけられています」(全国紙政治部記者)
となると、必然的に頼みの綱は東京15区となる。
「当初、自民東京都連は独自候補を擁立しようとしましたが、自民への逆風が強く断念。小池百合子都知事が擁立する乙武氏に“乗っかる”形となりました。小池氏の応援と乙武氏自身の知名度のおかげで乙武氏さえ当選すれば、補選全敗だけは免れますからね。『乙武頼み』の状況です」(同)
乙武氏は2016年の参院選で自民が擁立を模索したものの、女性問題が報じられて話は頓挫。それだけに茂木敏充幹事長らは乙武氏の推薦に当初難色を示し、創価学会女性部が強い影響力をもつ公明も推薦を見送る方向だが、自民は背に腹は代えられず、乙武氏を推薦する方針だ。
「乙武氏が勝ったところで自民の『1勝』となるかというと微妙ですが、乙武氏が負けて全敗となると、『岸田おろし』の可能性も現実味を増してきます。2021年、当時の菅義偉首相が3国政選挙で全敗した半年後には解散も総裁選出馬も断念し、岸田政権が誕生した流れと重なります。
奇しくも、菅氏は自民党の信頼回復について『生やさしいものではない』などとテレビでの発信を強めており、菅氏ら非主流派が、岸田政権から主導権を奪い返しに動くかもしれません」(自民党関係者)