「クセがスゴい!」も幻になっていた⁉
千鳥の代表ギャクといえば、どきつい岡山弁でボケ倒す大悟に、相方のノブが鋭く「クセがスゴい!」と返すツッコミ。そのひと言で観客席がどっと沸く。あまりの受けっぷりに、「千鳥のクセスゴ」(フジテレビ系)という冠番組も生まれたほどだ。
本多氏の記憶によれば、千鳥のふたりは「クセがスゴい!」というフレーズを大阪ローカル時代からよく使っていたという。
「千鳥が『ベース吉本』を卒業する以前の07~08年頃からノブくんはこのフレーズをよく口にしていたと思います。当時はお決まりのギャクというよりも、濃い岡山弁を繰り出すやんちゃな大悟くんに、ノブくんが反射的に『クセがつえーわ!』とツッコむという感じのやりとりでした」
その後、このやりとりは大悟の奔放な岡山弁が連発されるなかで磨かれ、千鳥の代名詞的なギャクとして定着し広まったというわけだ。本多氏が言う。
「ノブくんは『5upよしもと』の舞台袖での私との会話をもう忘れているかもしれません。でも、もしあのとき、『大悟くんのどぎつい岡山弁を客が理解できるよう、もっとやわらかいものに変えたほうがいい』と私がアドバイスし、そしてそれを大悟くんが実行していたら、ひょっとしたら、『クセがスゴい!』は生まれてなかったかもしれませんね(笑)」
舞台袖でのノブと本多氏のやりとりは時間にすれば、ほんの数分間のことだったという。しかし、今振り返ると、その数分間こそが「クセツヨ」の岡山弁を武器とする千鳥を全国区人気に押し上げた瞬間だったのかもしれない。