「生涯未婚率」の急上昇

一昔前、子どもに「将来の夢」を訊ねると、「消防士さん」や「看護婦さん」に混じり、「お嫁さん」や「お母さん」という答えが返ってきたものです。

幼い女子にとって「お嫁さん」や「お母さん」は、日々のおままごとでも登場回数が多い人気の役柄です。日常で一番身近な存在である父母の姿に、将来の自分の姿を投影する子がいても不思議はありません。毎朝出勤するお父さんの姿を見て、またご飯をつくって宿題を見てくれるお母さんの姿を見て、「私(僕)も、将来お母さん(お父さん)みたいな人になりたい」と願っていたあの子どもたちは、今どのような大人になっているのでしょう。

2021年の末、「生涯未婚率」の急上昇が、日本のメディアを騒がせました。2020年の国勢調査の結果が公表され、日本人男性の28.3%、女性の17.9%が、生涯未婚であるという報道です。今後、男性の約3割弱、女性の約2割弱が、結婚せずに人生を終える実態を、内閣府の「少子化社会対策白書」が提示したのです。

ちなみに「生涯未婚率」とは、50歳時点で「未婚」の人たちの割合です。厳密に言えば、彼らが「生涯にわたり絶対に結婚しない」とは限りません。ただし50歳で「未婚」ならば、生涯にわたり未婚であり続ける確率が高く、出産もほとんど見込めないため人口動態を考える材料とされているのです。

男性は3人に1人、女性は5人に1人が結婚しない社会に…現代日本が「結婚不要社会」となってしまった決定的要因_1
すべての画像を見る

もちろん中には、「結果的に55歳で結婚しました」というケースもあるでしょう。ただ数としては少数派となります。何しろ21年度の調査によると、日本人の平均初婚年齢は、男性は31.0歳で、女性は29.4歳です。50歳まで一度も結婚せずにいる人たちが、51歳以降モーレツに婚活に励むというのは、あまりリアルな想像ではありません。