移住者向けの日本語教育も強化

中国人の人口増加にともない、竹ノ塚駅周辺には中国人向けの本格的な中華料理店、いわゆる“ガチ中華”の店が続々とオープンしていることを前編で紹介した。

さらに、中国本土でしか売られていない日用品を取り扱う中国物産店も、多くの中国人で賑わっていた。

竹ノ塚駅から徒歩6分ほどの場所にある「春吉物産店」もそのひとつで、店内には青島ビールや中国のハーブティー「王老吉」、現地のスナック菓子などが揃っており、中国的な雰囲気を放っている。

オーナーの中国人女性によると、「ここ(竹ノ塚)なら勝負できると思ったんです」と3年前にオープンしたそうだ。
 

「春吉物産店」(撮影/集英社オンライン)
「春吉物産店」(撮影/集英社オンライン)
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「池袋駅北口エリアや西川口も中国人が多いけど、池袋はテナント料が高すぎるし、西川口にはすでに多くの中国物産店がある。その点、竹ノ塚なら家賃も安いし、競争も激しくなさそうだからね」

その狙い通り、夕方になると多くの中国人がこのお店に立ち寄って買い物をしていた。

たまたま道ですれ違ったのはランドセルを背負った小学生3人組。楽しそうに会話をしながらの下校風景だが、聞こえてくるのはすべて中国語で、彼らはそのまま近くの団地に入っていった。

子どもが足立区の小学校に通っているという30代の日本人女性も「息子のクラスでは、外国人のお子さんがおよそ3分の1を占める」と語る。

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竹ノ塚西口駅前商店街(撮影/集英社オンライン)
竹ノ塚西口駅前商店街(撮影/集英社オンライン)

「なかでも多いのが、中国やベトナム、モンゴルといったアジア系の外国人。自分が小学生のころはハーフの子ですら珍しかったから、ちょっと信じられないですね。

外国人の児童の中には日本語をまったく話せない子も少なくないようで、小学校側も一から日本語を教える教育プログラムを用意しているみたいです」

足立区では現在「あだち日本語学習ルーム」という学習支援教室を帰国子女や、来日して間もない外国籍の生徒のために開いている。

今からおよそ1年前に日本に移住し、現在は竹ノ塚のマンションに妻と子どもの3人で暮らしているという30代の中国人男性は、「日本にきて正解だった」と満足気だ。

「日本に移住しようと思った一番の理由が子どもの教育です。中国では大学に行くだけでも死に物狂いで勉強しないといけないし、その後の就職率も低い。

だから自分の息子には早いうちに日本の学校に通わせて、競争とは無縁な、安定した人生を送ってほしいと思ったんです」