屋号公開でも本名バレは防げない
実際、現在(2022年6月14日時点)国税庁が公開するQ&Aには、氏名は必ず公表される前提で記載されている。ちなみに「外国人の通称」や「旧姓」を氏名として公表(もしくは氏名と併記して公表)することは可能だが、いずれにせよ氏名は公開される。
また、「屋号を公開するように申請すれば氏名は公表されないのではないか」という主張をSNS等で見かけるが、これは認識誤りである。
国税庁が公開するQ&Aにおいて、屋号は「本人の申出に基づき追加で公表できる事項」として記載されている。つまり、屋号を公表したとしても氏名の公開が免除されるわけではない。
*詳細は国税庁Q&A「問 20 適格請求書発行事業者の情報は、どのような方法で公表されますか。【令和4年4月改訂】」参照
つまり、「インボイスで本名がバレる」という懸念は紛れもない事実なのである。
(*補足すると、課税事業者ごとに割り当てられる「登録番号」さえ分かれば、事業者公表サイトで検索することにより「本名」を割り出せる。この「登録番号」はインボイス方式の請求書に記載必須のため、複数ある取引先のうち1社だけでも登録番号を流出(もしくは悪意を持って情報を売買)させた時点で、ペンネーム・芸名と本名が紐づけられ、さらにはインターネット等で拡散される恐れがある)
先ほど「インボイスに直接の関係がある人」として列挙した中には、漫画家、作家、アーティスト、俳優などペンネーム・芸名で活動するクリエーターが多数いる。これらのクリエーターは本名がバレることによって、ストーカー被害などで従来の創作活動を維持できなくなり、最悪の場合は廃業に追い込まれる可能性があるのだ。