「好きなこと」は幻想 「得意なこと」は過大評価
「はじめに言っておきますが、『好きなことを仕事にすれば幸せに生きていける』、なんて幻想を真に受けていると痛い目を見ます。それが実現できるのは、宝くじに当選するくらいの超レアケース。そして好きなことを仕事にしよう、と同じくらいダメな考えが、『得意なことを仕事にしよう』というものです」
転職をしようかと悩んでいるとき「好きなことを仕事にしよう」といった耳当たりの良い言葉を見聞きすると、思わず「やっぱ、そうだよな!」と鵜呑みにしてしまいそうになるが、岡崎氏は「それは幻想です」とバッサリ。
だが、「得意なことを仕事に活かそう」なら、憧れだけの絵空事というわけでもない。これの何がいけないのだろうか。
「得意なことを仕事にしたいと考えている人は、自分には他人より秀でた能力があると考えているわけですが、そもそもその認識が間違っている可能性があるからです。その一例として『ダニング=クルーガー効果』という、おもしろい研究があります。
たとえば平均点60点のテストがあったとして、このテストで平均点を上回っていた人たちに『今回のテストはどうでしたか?』と聞くと、平均点以上だった人たちは『イマイチでした』と答えます。一方、平均点を下回っていた人たちに同じ質問をすると、答えは『結構できました』。つまり能力が低い人ほど、自分の能力を過大評価しやすいのです。
ですから、自分が得意だと思っていることがあれば、本当に得意なのだろうか?と一度疑ってみてください。仕事を選ぶときは、好き嫌いや得意、不得意にこだわるよりも、やる価値があるか、ないかで判断することをおすすめします」