一番の安全資産は自分自身

転職先を選ぶとき、今よりももっと稼げる仕事がいい、もっと収入の良い会社で働きたい、と思うのは当然かもしれない。しかし岡崎氏によると、目先の経済性よりも重視すべきなのは自己投資、つまり自分自身の価値を高めることなのだという。

「自己投資は、もっともローリスクハイリターンな投資とも言われます。長い人生なので、目先の給料や福利厚生よりも『職能』を、つまりその仕事に就くことでどんな能力が身につけられるのかを優先してください。なぜなら、一番の安定資産は、自分自身だからです」

コロナ禍や昨今のウクライナ侵攻など、世の中の情勢は不安定で先が読めない状態にある。つい先日まで左うちわだった人が、わずかな期間で路頭に迷うような事例は身近に起き始めているし、世界情勢の変容で目の前に食料やエネルギーの価格上昇が突き付けられているように、この先、何が起きたとしてもおかしくない世界になってきている。

「必ずしも増えるという保証はない金融資産に対して、自分という人的資産は、延々と再生産し続けることができる最高の資産です。職能で仕事を選び、いろんな能力を身につけて、ビジネスパーソンとしてどこに行っても通用する自分になると、お金にも転職にも困ることはないでしょう。

反対に、転職の際に困るということは、これまでいかに能力を身につけてこなかったかという証拠です。給料や福利厚生ももちろん大事ですが、ぜひ自分の能力アップのほうに力を傾けていただけるといいなと思います」

写真/shutterstock

転職前に知っておかないとヤバいこと♯1 ♯3