「欠点」は欠けている点ではなく、欠かせない点
今の仕事は自分には向いていない、と感じて転職を考えるケースは少なからずあるだろう。成果を上げられないのは、自分が欠点だらけだからだと思っている人もいるかもしれない。だが、岡崎氏は「欠点はその人の魅力」と語る。
「作家のひすいこたろうさんという方が『人は長所で尊敬され、短所で愛される』とおっしゃっていて、わたしもそのとおりだと思っています。パーフェクトな人間なんていないですけど、長所ばかりの完璧人間は、きっと人から愛されないでしょう。短所とか欠点、とくに欠点って、欠けている点とも読めますが、欠かせない点とも読める。その人にとって欠かせない魅力が隠れているのが、いわゆる欠点なんです」
欠点・短所と聞くとどうしても悪いイメージを持ってしまうが、たとえば、すぐに怒る→正義感が強い、諦めるのが早い→切り替えが早い……と長所に変換できるというのだ。
「たとえ欠点が欠けている点だと思えても、それを受け入れて、どうすれば魅力に変えられるのかを、転職する前にきちんと考えましょう。欠かせない点である欠点を大事にしながら補っていけば、いつか強固なフックになるはずです」
仕事を選ぶときに大切なチェックポイント
転職する際は、それが同業種、異業種に関わらず、人それぞれに転職先を選ぶ基準がある。とはいえ、その基準をどう設定すればいいのか迷う人も多いはずだ。
「仕事選びや将来像を描くときの参考になる、プランド・ハップンスタンス理論という考え方があります。これはざっくり言うと、個人のキャリアは偶発的な出来事によって形成されるというもの。この理論では、自分にとってその仕事が天職と呼べるかを判断するとき、次の4つのカテゴリに当てはまるかどうかで考えてみる、とされています。その4つとは『得意かどうか』、『好きかどうか』、『求められているか』、『お金になるか』。
ただし、これはあくまでも理想の話です。現実的には4つすべてがYESの仕事を選ぶのは難しいですし、そういう例はなかなかないでしょう。しかも先述した通り、得意というのは過大評価の場合が多いですし、好きな仕事も、たとえばわたしの場合、ビジネス書作家として本を書くのは比較的得意なほうですけど、好きかと言われたら、できれば書きたくない。
なので、わたしの考えでは、仕事を選ぶ基準として大切なのは、求められているか、お金になるかの2つ。別に得意なことでも好きなことでも構わないけれど、求められている仕事かどうかと、お金にちゃんとつながるのかという点は、必ずYESである仕事を選びましょう」