うまくいく企業は「計画」ではなく「目標」を立てる

――「すごい会議」を通してうまくいく企業と、うまくいかない企業があると思います。その違いは何でしょうか。

「すごい会議」の戦略会議をやると、その組織の目標や作戦がはっきりしますが、それはだいたいうまくいかないです。なぜなら、これまで解決したことのない問題が出てくるから。顧客が「『すごい会議』は大変だから、違う研修に変更したい」と言い出すこともあります。

そこからうまくいくかどうかは、野望があるか、なんですよね。「今は売上50億円だけど、業界トップが120億円だから、4年以内に200億円になって業界No.1になるぞ」とか。もっと小さな野望でもいいです。大切なのは、今はそれを持っていなくて、 勝つ方法もわからないけれど、「できるんじゃないか」という可能性を見出して、それを得ることにコミットできるかどうか。

先ほど「目標を立てる」と言いましたが、人は、やり方のわからない目標を立てる人と、やり方がわかる目標を立てる人のふたつに分かれます。私たちは、やり方のわからない目標を「野望」、やり方のわかる目標を「計画」と呼んでいます。後者は目標ではないんですよね。つまり、うまくいく企業は「野望を持っていて、目標を立てられる企業」だといえます。

さらにいうと、解決できない課題が出てきたときに、解決したことのない問題を解決した体験がある人と、その体験がない人とでは、アプローチが違うんですよ。

多くの人は、解決できない問題を解決したことがないから、解決方法がわからない計画には乗らないんです。でも、解決した体験をしていると「今、当社は年商10億円だけれど、来年は30億円いってもおかしくないんじゃない?」なんてことが言えるようになるんです。

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――解決できない課題を解決できるようになるためには、どうすればいいのでしょうか。

1~2年ほど、小さな問題を解決していく体験をしてもらう場合が多いです。例えば、ある造船会社は当時業界7位でしたが、社長が「7年以内に2位になる」と目標を立てました。すると一人の部長が「すでに製造のプロセスが決まっているから無理」など、できない理由をたくさん並べてきました。

そこで私たちがやったのは、その人が「できない」という説明を聞かずに、「どんな事実があるのですか?」と実を取っていくことです。「AなのでBできない」と言われたときに、AとBとを切り離して考えるのが大事。その会社の場合は、他国との価格競争やコスト面などの問題がありました。そこから解決策を組み合わせて、一歩ずつ小さな問題を解決していったら、実際に業界2位にまで成長したんです。

当時できない理由を並べていた部長も、「次回までに解決しておきます」と発言するほど変わりました。