管理職の「罰ゲーム化」が自殺や病気につながるリスク

管理職の「罰ゲーム化」は、会社の経営上の問題だけでなく、人の人生を丸ごと狂わせる心身へのダメージにつながりかねないということです。人は、ビジネス・パーソンとしてはいつか引退していきますが、体と心は一生涯で一つです。この「罰ゲーム」が、自殺や病気といった重大なリスクを高めるのであれば、それはすでに大きな社会課題です。

「罰ゲーム化」する管理職の高い自殺率、縮む給与差、後任は育たず、女性と若手はやめていく…もはや誰も昇進したくない日本の会社組織の問題点_2

管理職の苦境は、環境問題や貧困問題のような社会的イシューとしての「わかりやすさ」や「共感されやすさ」を持ち合わせていません。多くの管理職は、組織の序列では上位者であり、賃金も多くもらっています。多くの人は、そうした管理職の負荷に対して無関心です。管理職問題はあくまでビジネスや会社運営上の問題であり、「管理職を救う」といったミッションは、社会的なものになかなかなりません。

しかも、その共感の得られなさからか、管理職本人もなかなか声を上げようとしません。プライドが邪魔して助けを求められなかったり、組合員ではなくなったため労働組合に相談できなかったり、家族を支えたり会社の部下を守るために、様々な重圧を受けながら孤独にこの問題に対処することは、むしろ悲劇につながりかねません。

管理職は「特に誰にとって『罰ゲーム』に見えるのか?」という視点について、さらに解像度を上げてみると、「罰ゲーム化」のさらなる悪影響が見えてきます。会社のメンバー層の中で「罰ゲーム」の状況に最も影響を受けるのは、他でもない「女性」です。

ここまで見てきた管理職の負荷をめぐる状況の多くは、性別に限らず一般的に起こっている現象です。しかし、それでもこの「罰ゲーム化」現象は、男性よりも女性の活躍をより阻むことになります。なぜでしょうか。