蓋を開けるだけで、気持ちが盛り上がる

早朝からの撮影の朝ごはんは、おむすびやパンなどの炭水化物ではなく、フルーツのような軽めの食事を好む人も多い。そんなときに重宝されていたメニューが、「フルーツの盛り合わせ」だ。「ネコメシ。」を頻繁に頼んでいた編集者からも熱い声が届いた。

「写真を撮れるわけはないし、メイクアップを施せるはずもなく、きれいな着せ付けやしわ取りもできない。目に見える専門技術を現場で披露することがない編集者にとって、ファッション撮影現場でのケータリング手配はじつは大切な腕の見せ所なのです。だから私は『ネコメシ。』に相談することが多かった。“御開帳”の際、どれだけ現場の皆さんに喜んでいただけるか。その一瞬に注力していたので、特に彩りの美しい果物の盛り合わせが、どれだけ力となってくれたか分かりません。気持ちよく撮影を進行するための影の同志でもあってくれた熊谷さんに、改めて感謝しています。」 ーー五十嵐真奈 SPUR.JP編集長

ファッション業界人に愛されたケータリング屋「ネコメシ。」 主宰・熊谷典子さんのお弁当の物語。_5

熊谷さんに盛り付けの秘訣を聞いてみると、

「盛り付けは、フラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンのフラワーボックスを参考にしています。メインとなるフルーツを1つ決めて、そこに合わせて色のグラデーションを作っていくんです。あとは表現したいニュアンスを決めて、それに向けて色合いを決めていきます。”楽しさ”だったら補色を大胆に使ってカラフルに、”シック”なイメージは同一色のグラデーションなど。季節によっても、暖かいときは黄・白・緑などの色を使い、寒いときは赤や紫の果物を選んでいましたね。」

ファッション業界人に愛されたケータリング屋「ネコメシ。」 主宰・熊谷典子さんのお弁当の物語。_6

<フルーツ盛り合わせ>
材料:形や大きさの違う果物を3、4種類。
切り方:揃えた果物の大きさと、盛る器の大きさを比較して切る。果物同士は大体同じ大きさに。
色:メインの果物に合わせてグラデーションを作る。ブルーベリーやザクロなどの小さい果物は補色に。