糖尿病になると肺炎になるリスクが…

「糖尿病の方は甘い水分、サイダーなどの炭酸飲料やジュースなどを避けるようにしてください。水分はしっかり摂る必要がありますが、糖分が含まれた飲料を飲むことで血糖値が上がり、それによってよけいに喉の渇きを感じ、さらに飲み続けてしまうといった“ペットボトル症候群”に陥ってしまうことになります。高血糖で倒れてしまうリスクが一番高いのが、この悪循環によるものです。糖尿病の方は特に注意が必要です」

珠洲市内の避難所内にて(撮影/集英社オンライン)
珠洲市内の避難所内にて(撮影/集英社オンライン)

糖尿病になると、肺炎になるリスクが高まることがわかっている。誤嚥性肺炎を防ぐためにも口の中を清潔にすることを特に心がける必要がある。

「口腔ケアをしっかりやることで誤嚥性肺炎を防ぐことに繋がります。また、唾液が少ないと口の中の細菌が繁殖しやすくなります。よく噛んで食事をするなど、口を動かすことは唾液の分泌を促すことにもつながります。水が不足していたり、歯ブラシがないといった難しいケースもありますが、できるだけ口腔ケアを心がけてください」

同じ血圧の薬でも、薬によって作用機序が違う。ふだん飲んでいる薬の名前は「お薬手帳」に記載されているが、薬すら持ち出せなかった緊急避難の状況下で、お薬手帳を持ち出すのはなかなか難しいだろう。薬の名前を覚えておくのも手だが、一番はお薬手帳の内容をスマホや携帯電話のカメラで撮影しておくこと。多くの人が携帯は持って避難するので、そこに画像を保存しておくのが一番なのだ。

「もし、お薬手帳の情報がない場合は、自分の病気について何種類の薬を、何回飲んでいるかといった情報は覚えておいてください。例えば、『血圧の薬は2種類。ひとつは1日朝1回、もう一つは毎食後の1日3回です』と聞けば、医師や保健師は、あの薬とあの薬の組み合わせかな、などと想像ができます。それにより似た作用機序の当座の薬で対応できるかどうか、判断しやすくなります」

輪島市内にて(撮影/集英社オンライン)
輪島市内にて(撮影/集英社オンライン)

だるさや体の痛みなどは避難所生活なのだから仕方ない、とそのままにしがちだが、体調変化を感じた場合はすぐに伝えてほしいと、大橋医師は訴える。

「被災現場というのは、さまざまな被害に遭われている方がおり、ちょっとした体調不良をなかなか言い出しにくい環境でもあります。ですが、頭がぼーっとするとか、ふらふらするとか、あるいは胸がちょっと苦しいと感じたりした場合は、早めに保健師や周りにいる支援者などに伝えて相談してください。我慢すればするほど、後々大事になってしまいます」

大橋博樹医師
大橋博樹医師
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取材・文/神保順紀 集英社オンライン編集部ニュース班