「翼から炎が出ていて。『え? ヤバイな』と思っているうちに…」
群馬県在住の50代女性は帰省先の札幌から夫と娘とともにUターンしたところだった。
「年末から家族3人で札幌の実家に帰省していたのですが、夫の仕事の都合もあって今年はいつもより早めに戻ろうということで、2日の夕方に羽田に着く便に乗りました。座っていた席は前のほうでした。着陸時に『ドーン』といつもよりかなりひどい衝撃を感じたので、左側の窓から外を見ると、翼から炎が出ていました。『え? ヤバイな』と思っているうちに、酸素マスクが降りてきました」
そうこうしているうちに、客室乗務員の叫び声が聞こえてきたという。
「昔見たドラマの『スチュワーデス物語』みたいでした。クルーさんが必死で『頭をさげてください! 頭をさげてください!』と叫んでいて、その指示に従いました。私の隣に娘がいて、その横に若い女性がいて二人ともキャーキャー悲鳴をあげながらパニックを起こしかけていたので、『頭をさげましょう』と落ち着かせるのに懸命でした。
娘たちにジャンバーを着させて、靴を履かせ、誘導に従いました。ドアは比較的に早い段階で開いたと思いますが、降りるのは1人ずつなので、避難誘導を待つ間も『一刻も早く外に出たい』という焦りはありました。それでも私たちは前から6列目だったので、パニックになるほどではなかったです。避難後はJALから状況説明はなくて、後日連絡があると聞いています。我々は自家用車で来ているのでこのまま帰宅できますが、宿がなかったり、荷物がまったく持ち出せなかったりで、泣いている方々も大勢いました」
女性の夫も衝撃をこう語った。
「私はそれまで寝ていて、突然ドーンという衝撃で起きました。炎などは見ていません。今回あらためて感じたのは、やはり訓練が大事ということですね。機内で離陸前のCAさんの有事の際の説明を真面目に聞いていたので、落ち着いて動くことができました。私は1番前の席だったので、慌てることなく降りて、そこからは後続の乗客の脱出の手伝いをしていました。みなさんパニックにならずに冷静に滑り台を降りてきて、最後にCAさんが乗客が残っていないか確認を終えてから降りてきました。この日はファーストクラスも含めてほぼ満席でしたね。まだ年始ですから、早く家に帰りたいです」