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「陸前高田=被災地」というイメージから一歩先へ

地方創生を目的として、全国47都道府県すべてに直営キャンプフィールドを開業することを目標に掲げているスノーピーク。2023年から3年間の中期経営計画においては、その開発促進として合計1,000サイトの追加を発表しており、キャンプ場開拓を本格化させている。そして現状、その進捗は順調だという。

このキャンプフィールド新設事業の窓口となっているのが、スノーピークの子会社である株式会社スノーピーク地方創生コンサルティングだ。同社代表取締役社長の村瀬亮氏は、新フィールド開業に向けた地域選定のポイントを、次のように挙げる。

「場所に対して強いこだわりを持っていることは間違いありません。眺望や空間であったり、なるべく人工物が少ないところだったり、その土地ならではの魅力というものが大前提になってくる。ですが、何より大事なことは、関わる人々の“想い”があることです。

企業や自治体とアライアンスを組んで開業に取り組むケースも多々ありますが、そういったパートナーとなる方々がスノーピークと一緒に地域に何を残していきたいのか、そしてその取り組みが今の社会や地球環境にとってどのような影響を与えるのか。そういったことを一緒に考えられるチームになれるかどうか、という点をすごく大切にしています」

「陸前高田=被災地という印象だけでない街づくりを目指している」という村瀬さん
「陸前高田=被災地という印象だけでない街づくりを目指している」という村瀬さん
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ビジョンを共有して一丸となることで、地域との間にいっそう深いコミュニケーションが生まれれば、その土地の魅力をさらに引き出すことができる。そして地域の産品などをスノーピークが紹介することで、同社が抱える約84万人の会員にリーチし、そのエリアを訪れる人々が増える。村瀬氏が挙げるポイントには、こういった好ましい連鎖が期待できる。

また、地域に根差したキャンプフィールドを作り上げるうえで欠かせないのが「モニタリングキャンプ」の存在だ。これは地域の人々との繋がりを深めるため、どんな場所にしたいのか、その土地に暮らしている人々や自治体の職員、有識者などと実際にキャンプをしながら、その意見・要望にじっくり耳を傾けるというもの。スノーピークが新しい場所を作る際に必ず行う工程のひとつだ。

陸前高田キャンプフィールドのモニタリングキャンプでは、「陸前高田という地名が、被災地という印象とくっついてしまっている。でも本当はもっと素晴らしい魅力があるから、それを伝えてほしい」という声が地元の人々から挙がった。スノーピークとしてはそれを実現すべく、オープンまで取り組んできたという。