会社に不満はないけど不安がある

近年の職場運営法改革による職場環境の好転に伴い、若手の職場への認識も好転している。たとえば、「休みがとりやすい」に対して「あてはまる」と回答した大手企業新入社員の割合は、38.0%(1999-2004年卒)から61.3%(2019-2021年卒)へと大きく向上している(古屋星斗『ゆるい職場――若者の不安の知られざる理由』中央公論新社。以下とくに注釈がない場合はこちらより引用)。

結果、会社への評価も向上した。初職の会社への評価点(10点満点)は、入社年を追うごとに肯定的になっている。1999-2004年卒では6点以上は33.7%にすぎなかった。一方で2019-2021年卒では、10点をつけた回答者が4.8%、6〜9点をつけた回答者が43.8%と、合わせると6点以上が48.6%と半数近くに上っている。

ただ、「労働環境が良くなって、若手も会社のことが好きでハッピー」では終わらないことは読者諸氏も強く感じているだろう。若手の離職率を10年スパンで見ると、2009年卒の20.5%から2019年卒の25.3%へと上昇している(厚生労働省調査、3年未満離職率、大学卒以上・大手企業)。

ここで、若手社員たちが自らのいま置かれた状況をどう認識しているのかを見ていく。じつは、職場環境は好転しているにもかかわらず、ストレス実感は減少していない。「不安だ」とする回答者は2019-2021年卒では75.8%に上っている(1999-2004年卒が新入社員だったときの66.6%や2010-2014年卒の70.1%と比較して高い)。

この「不安」という要素について、現在の新入社員に掘り下げて質問をした。たとえば、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じるか」という質問に対して「そう思う」と回答した者の割合は、現在の新入社員の48.9%に及んだ。

有給取得率は上昇、残業時間は半減するも、ストレスは減少せず。今どきのZ世代が活躍する職場に存在する「二つの要素」とは_2