つらくつまらないことを楽しむ「苦楽力」

テレビでは塾高の選手の悲壮な表情をひとつも見ませんでした。これは素晴らしい準備をしてきたからです。

普段、あまり気に留めることはありませんが、日常的に、私たちはさまざまな準備をしています。たとえば、雨が降るかもしれないから、傘を持っていく。遅れるかもしれないから1本早い電車に乗る。準備をしたという安心が大事なのですね。

森林監督は普段の練習がテストで、試合は答え合わせのようなものだと言われます。試合の時にがんばるのではなくて、練習をがんばる。勝利を目指すのは当たり前だけど、一番大切なのは成長。それを大事にする。

そうすれば、「試合って楽しい」と思えるはず。確かに勉強をしっかりやったあと、テストの答え合わせはドキドキワクワク楽しみなものですよね。

野球史に残る偉大な選手であるイチローさんは、こんな言葉を残しています。

「そりゃ、僕だって勉強や野球の練習は嫌いですよ。誰だってそうじゃないですか。つらいし、たいていはつまらないことの繰り返し。

でも、僕は子どもの頃から、目標を持って努力するのが好きなんです。だってその努力が結果として出るのは嬉しいじゃないですか」

世界のイチローと甲子園優勝の慶応野球部の共通点は「苦しいと楽しくなる」。口先だけでも効果が抜群だという、つらいことを楽しむ力「苦楽力」とは?_2

つまりイチローさんはただ普通の練習は嫌い。でも、夢へ到達するための必要な努力としての努力なら好きだと捉えているからです。

激しくつらい練習が好きだという人はいないでしょう。ただし、日本一になるために必要な努力だとしたら、喜んでするのではないでしょうか。

SBTではこうした「つらいこと」「苦しいこと」を楽しむ力のことを「苦楽力」と呼んでいます

試合を楽しむためには、苦楽力を発揮して、日頃の苦しくつらい練習を何よりも楽しむことが大事なのです。