1000万プレーヤーでも貧乏暮らし
このラストソングを担当ホストにかちとらせるためにひと晩で100万円近く使う女性客も少なくない。こうした女性を、この業界では”ホス狂(きょう)”や“ホス狂い”と呼ぶ。
「ここ数年でお酒の値段が高騰したこともあり、ひと晩で使う金額もグンと増えました。以前は月50万円も使えば『太客』と呼ばれたのに、今だと200~300万円ほど使わないと担当ホストにかわいがってもらえないんです。
だから私のようなホス狂いは風俗などの夜職で働いていることがほとんど。でも、担当ホストに嫌われたくないから、自分の仕事については話さない子が多いですね」(同)
深夜1時を回ると、歌舞伎町にはアフター(店外デート)に出かけるホストと女性客の姿も増えてきた。彼女たちの多くは20代とみられ、いわゆる地雷系ファッションと呼ばれる、フリフリのワンピース姿が目立つ。この現象について、歌舞伎町で20年以上ホストをしているという男性(30代)はこう答える。
「SNSやYouTubeチャンネルで情報を発信するホストが増えた影響で、大学生のような若いお客さんが多くなりました。彼女たちのほとんどが風俗やパパ活をしていてお金を持っている。そういう仕事は若いほうが稼げますからね。だからホストも若い子を狙って『本営』(本命営業)と呼ばれる、自らを恋人だと思いこませるような色恋営業にシフトチェンジしていき、アフターで枕(枕営業)するホストも増えたんです」
そこで問題となっているのが前述の売掛と、その返済のための女性の“風俗堕ち”だが、実は甘い蜜を吸えるホストばかりではないらしい。
「ひと昔前は売掛は、できて月50万円程度。それが昨今の客単価の上昇で、支払えない客も出てきた。不足分は担当ホストが代わりに支払わなきゃいけないから、貧乏ホストも多いですよ。アドトラックに “1000万プレーヤー”と大々的に打ってるようなホストでも、苦しい生活をしているパターンだって珍しくないんです」(同)