時代を彩ってきたCM発の流行語たち

かつてCMは流行語の有力な発信源だった。

テレビ黎明期の1960年代なら

「はっぱふみふみ」(万年筆「エリートS」/PILOT)
「何である、アイデアル」(「アイデアル」/丸定商店)
「オー! モーレツ」(「丸善ガソリン100ダッシュ 」/丸善石油)
「ハヤシもあるでよー」「(オリエンタルカレー)/オリエンタル)
「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」(「前田のクラッカー」/前田製菓)
「ワンパクでもいい。たくましく育ってほしい」(丸大ハム/丸大食品)
……

となつかしのCM特集では必ず出てくる定番の流行フレーズが量産されていた。

1984年開始の流行語大賞でも2000年くらいまではCM起源の流行語を多数見ることができる。

「私はコレで会社をやめました」(「禁煙パイポ」/マルマン株式会社)
「亭主元気で留守がいい」(「タンスにゴン」/KINCHO)
「バクハツだ!」(「マクセルのVHSビデオテープ」/maxell)
「5時から(男)」(「グロンサン強力内服液」/中外製薬」)
「ユンケルンバ ガンバルンバ」(「ユンケル黄帝液」/佐藤製薬)
「24時間タタカエマスカ」(「リゲイン」/第一三共ヘルスケア)
「ダダーンボヨヨンボヨヨン」(「ダダン」/ピップ株式会社)
「ねェ、チューして」(「ルシェリ」/KOSE)
「見た目で選んで何が悪いの!」(「スナップキッズEX」/Kodak)
「すったもんだがありました」(「タカラ缶チューハイ」/宝酒造)
……

当時を知る人なら、どのCMもフレーズを聞くだけで映像が浮かんでくるくらい印象に残っているはずだ。

「私はコレで会社をやめました」なら、小指を見つめるサラリーマンの姿が、「5時から(男)」なら飲み会ではしゃぐ高田純次が、つい最近なかやまきんに君でリメークされた「ダダーンボヨヨンボヨヨン」なら女子プロレスラー(レジー・ヴェネット)が水から出てきてポーズを決める姿が、脳裏に鮮明に浮かび上がる。

しかし、2000年代以降になるとこの様相は変わってきて、トップ10に入ったのは、2006年の「たらこ・たらこ・たらこ」、2009年の「こども店長」、そして2013年の「今でしょ!」のみである(2011年東日本大震災時のAC広告「こだまでしょうか」があるがこれは例外)。

なぜ近年CMから流行語が出なくなってしまったのだろうか。