パーソナルトレーニングと医療の連携

麻布台ヒルズのコンセプトはまさに「Deportare Club」の理念と合致した。森ビルの担当者から麻布台ヒルズにおける“医療連携”の一翼を担ってほしいというオファーが来たことも、必然であったのかもしれない。

「パーソナルトレーニングの先にあるものは、医療との連携なのだと常々考えてきました。それはトレーニングの面だけでなく、やがては『オーソモレキュラー療法』のように、遺伝子検査から本人に合わせた最適な量の栄養素を提供して病気の予防を医学していくような、個人に併せたオーダーがされていくのかもしれません。

しかし日本では昔から医療の分野においては見えない壁が存在し、トレーナーなどは下に見られて話もまともにしてもらえなかったというエピソードも聞きます。一部の志ある人を除いては『運動』や『栄養』という健康を司る重要な分野でさえ、他分野と連携するには難しいことのほうが多かった。

今回の麻布台ヒルズにおける、ウェルネスや人と人との繋がり。そして医療提携は、この国の健康に対する考え方を根本から見直す契機になるかもしれません」(竹下代表)

「Deportare Club」
「Deportare Club」

麻布台ヒルズでの「Deportare Club」は同フロアに入る「麻布台クリニック」と提携することが決まっている。具体的にはクリニックでの人間ドックや健康診断で出たデータを元に、トレーナーがその人個人に向けたオリジナルのトレーニングメニューをオーダー。それをどれだけ行えたのかを観察しながら、また情報と共に医者に戻す。クリニックでは再び検査で身体の状態をチェックして、身体の調子を整えていく。

「たとえばBMIが多いとか、肝臓のガンマ値やら血中コレステロール値が高いとか、よくない数値が出る。皆さんも経験があると思いますが、従来であればこの結果だけでお医者さんが言えることは『食事に気をつけて運動をしてください』だけなんです。でも医者とジムが連携すれば、それ以上の具体策がとれる。

トレーニングして身体の体組成が変わると、すぐに数値はよくなり、病気のリスクを減らすことができます。逆に日常的に身体の状態を見ているトレーナーが、『何かがおかしい』ということに気がつけば、すぐにお医者さんに任せることもできる。

すでに発症したガンを治すなんてことはできないかもしれないけど、これまで見えない壁によって阻まれていた“医者”と“パーソナルトレーナー”が連携して情報を共有していけば、ほとんどの人の現在の健康状態を向上させ、維持継続していくことは絶対にできると思っています」