海外では「胃が痛い人にスクワット」も

日本における未病の分野は、世界的に見ればかなり立ち遅れているという。保険制度のない海外の国では病気になって医者にかかれば数百万円があっという間に飛んでいくため、病気にならないための未病の考え方が進んでいるが、保険制度のある日本では、手術や薬の処方が中心になってきたためだ。

「Deportare Club」
「Deportare Club」
すべての画像を見る

「海外のスポーツクリニックには胃が痛い人も来るんです。医者は胃薬も出すけど、スクワットをさせることもあります。そうすると腹圧が掛かり蠕動運動が促進されて胃が動き出すんです。こういうことは、日本のお医者さまはほとんどしない。

なぜなら病気を治す専門家であって、健康を維持するための勉強はほぼ習わないからしょうがないんです。薬の処方ももちろん必要です。ただ、医者がほかの分野と連携すれば、もっとほかのいろいろな方策を選択できるようにもなります。

トレーナー側としても、お医者さまから共有されたデータをどう活かすかがプロとしての腕の見せどころ。真理として、病気を未然に防ぐための大原則である「運動する」、「よい睡眠」、「栄養をバランスよく摂る」という3つは、人類が人類であり続ける限り絶対的に変わらないもの。問題は人間ひとりひとりのパーソナリティが違うことです。

公務員の方と漫画家の方ではライフスタイルも違えば、生活のサイクルも考え方も違ってくる。その中で、どうやって個人にあったアプローチをして運動を習慣化させていくか。ここがパーソナルトレーナーのセンスでありクリエイティブが問われる部分です。やっぱり基本は人間対人間。メンタルの部分も含めて、トレーナーと受信者が信頼関係を結べる人と人との関係こそ、もっとも大事な部分であるのだと思います」

「Deportare Club」は麻布台ヒルズの新店舗に、エースクラスのトレーナーを配置。西麻布にあったジムの2.5倍となる約400㎡のトレーニングエリアには、最新のトレーニングマシンに、ヨガスペースなど広々とした空間を確保した。

これまで紹介がなければ入会できなかった300名だけの少数会員制のクラブは、数万人の人々が集う麻布台ヒルズへの移転を機に、会員数の枠を広げるほか、「今できる未病対策の領域でこれ以上のものはないのではないか」とまで竹下代表が言い切る、医療と連携した特別なウェルネスプログラムを受けられるコースの新設など、新たな体制でリスタートする。

「場所も環境も人材も、医療連携に必要な要素が日本で一番集まっているのがこの麻布台ヒルズです。ここでの第一歩が、本当の意味での我が国における“医療連携”になろうとしています。可能性はとてつもなく大きいです」

 人と人がつながり、心身ともに健康で豊かに暮らせる街。麻布台ヒルズというひとつの街がもたらす革命は、これからの日本の都市の在り方を変えていく可能性を秘めている。  


文/集英社オンライン編集部

#1 世界初のCT導入で高精度な人間ドックも実現。「麻布台ヒルズ」が掲げるウェルネス&予防医療はここまで最先端だった