「感覚過敏と感覚鈍麻」は克服できる?

CASE11では「感覚の異常」による偏食について、またCASE12では「皮膚の感覚過敏」や「暑さ・寒さに対する感覚鈍麻」について説明しましたが、感覚の異常にはほかにもさまざまなものがあります。
 
子どもが特定の感触や音、においなどを苦手としている場合に、「少しずつ慣れていけばいい」と言う人もいます。しかし、感覚の異常は先天的な特徴であって、時間がたっても変わらないものです。多くの人が「食べ物の腐ったようなにおい」に慣れないように、感覚的な苦痛というのは、基本的には慣れることが難しいものなのです。

ときおり、「うちの子はがんばって苦手な音を克服しました」「いまは嫌がらずに活動に取り組めています」といった話を聞きますが、何年かたったあとに「あの時期はがまんができるようになっただけで、苦痛がなくなったわけではなかった」ということがわかってくる場合があります。

表面的にはよくなったように見えても、本人が感じる苦痛は変わっていないということも多いのです。

「冬でも半袖半ズボンで平気」発達障害の子どもに見られる「感覚過敏」や「感覚鈍麻」。特定の感覚に敏感・鈍感すぎることへの対応策は?〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉_3
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がまんを続けているうちに限界がきて、ストレスでいろいろな活動ができなくなってしまう場合もあります。例えば、苦痛に耐えて部活動や習い事になんとか通っていたけれど、ある日限界がきて、まったく行けなくなるというケースもあるのです。

本人が部活動などを続けたくて、自分の意思で感覚的な苦痛に耐えようとすることもあります。その場合にはすぐに退部させる必要はありませんが、自ら望んでやっていても、苦しいことには変わりはありません。本人にはストレスがかかっているので、無理をしすぎないように周囲の人が見守る必要があります。

文/本田秀夫 マンガ/フクチマミ

#1『発達障害の子どもを注意するときに「ダメ」はNG! 「含み」を理解するのが苦手な子には具体的に理解させるために必要な「言い方」とは〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉』はこちらから

#2『いつも同じ道を通りたがる子どもには理由がある! 「いろいろな体験をしてほしい」親心が発達障害の子どもにはストレスになることも…〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉』はこちらから

『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)
本田秀夫 (著)、フクチマミ (マンガ)
「冬でも半袖半ズボンで平気」発達障害の子どもに見られる「感覚過敏」や「感覚鈍麻」。特定の感覚に敏感・鈍感すぎることへの対応策は?〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉_4
2023/9/28
¥1,540
160ページ
ISBN:978-4815619459
「なんで!?」がわかれば子育てがラクになる!
・こだわりが強い
・融通がきかない
・友達づくりが苦手
……
うちの子の不思議な言動がこれ1冊で丸わかり!

臨床経験30年以上の医師が指南!
●20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介

・臨機応変な対人関係が苦手
・自分の関心、ペースが最優先
そんな自閉スペクトラム症の子の「あるある」をマンガ紹介→「どうして?」と思ったら解説を読んで解決!

【構成案】
■プロローグ:「自閉スペクトラム症」の子どものフシギ

・発達障害の中でもASD(自閉スペクトラム症)中心に事例を紹介
・こだわりが強い、臨機応変な対応が苦手、友達づくりが苦手
・ASDのコミュニケーションは理解されづらく、
「普通だったらわかるでしょ」がわからない

■20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介
※幼児期から小学生まで
Case1 何にでも手を出して、勝手に遊んでしまう
Case2 特定の子と一緒になると、いつもケンカになる
Case3 自分からは話しかけるのに、人の話は聞かない
Case4 いたずらして注意されると、むしろ調子に乗る
Case5 学校での生活に、いつまでたっても慣れない
Case6 園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる
Case7 外出先の病院などで、ちゃんと挨拶しない
Case8 タンスに登って飛び降りるので、危ない
Case9 着替えや食事などの生活ルーチンが身につかない
Case10 ささいなことで、かんしゃくを起こす
Case11 偏食があって、なかなか変わらない
Case12 真冬でも、半袖・半ズボンを着ている
Case13 学校で教室移動中に、廊下を走り出す
Case14 褒められたのに、先生の腕をかんでしまった
Case15 大人に注意されると、腰砕けな答えを返す
Case16 文章の細かいところを気にしすぎる
Case17 質問されると、すぐに「わからない」と言う
Case18 話し方が変わっていて、同級生と打ち解けない
Case19 自分の意見を言わず、まわりに合わせてしまう
Case20 元気に学校に行っていたのに「突然不登校」に

■エピローグ 
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