大人も「オール・オア・ナッシング」で考える

CASE4では、子どもが電灯のスイッチでいたずらをする例を解説しました。いたずらをして、親から注意されるところまでが一種の遊びになってしまう。これも行動のパターン化です。


対策としてスイッチにカバーをつける方法を紹介しましたが、それも「交渉の余地をなくす」というやり方ですね。パターンを好む子も、運命のように「ダメだ」と感じたことについては、あきらめが早いです。

という意味で、子どもに絶対にやってほしくないことについては、最初から絶対にできない環境をつくってしまえばいいのです。

例えば、子どもが親の財布からお金を抜き取ってしまう問題があって、「やめなさい」と言っても繰り返してしまう。そのような問題を防ぐためには、最初から財布を鍵がかかる引き出しに入れておけばいいわけです。

自閉スペクトラムの特性がある子は「オール・オア・ナッシング」のような考え方をすることがあります。特定の行動パターンにこだわる。それ以外は受け付けない。ありかなしかの2択しかない。法則性にそのくらい強くこだわる子もいます。

そういうタイプの子とその都度交渉していたら、話がこじれることもあるでしょう。大人も「オール・オア・ナッシング」で考えて、「毎回このパターンでも許容する」か「最初からやらせない」のどちらかに絞って対応したほうがいいわけです。「最初が肝心」というのは、そういう話でもあります。

文/本田秀夫 マンガ/フクチマミ

#1『発達障害の子どもを注意するときに「ダメ」はNG! 「含み」を理解するのが苦手な子には具体的に理解させるために必要な「言い方」とは〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉』はこちらから

#3『「冬でも半袖半ズボンで平気」発達障害の子どもに見られる「感覚過敏」や「感覚鈍麻」。特定の感覚に敏感・鈍感すぎることへの対応策は?〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉』はこちらから

『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)
本田秀夫 (著)、フクチマミ (マンガ)
いつも同じ道を通りたがる子どもには理由がある! 「いろいろな体験をしてほしい」親心が発達障害の子どもにはストレスになることも…〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉_6
2023/9/28
¥1,540
160ページ
ISBN:978-4815619459
「なんで!?」がわかれば子育てがラクになる!
・こだわりが強い
・融通がきかない
・友達づくりが苦手
……
うちの子の不思議な言動がこれ1冊で丸わかり!

臨床経験30年以上の医師が指南!
●20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介

・臨機応変な対人関係が苦手
・自分の関心、ペースが最優先
そんな自閉スペクトラム症の子の「あるある」をマンガ紹介→「どうして?」と思ったら解説を読んで解決!

【構成案】
■プロローグ:「自閉スペクトラム症」の子どものフシギ

・発達障害の中でもASD(自閉スペクトラム症)中心に事例を紹介
・こだわりが強い、臨機応変な対応が苦手、友達づくりが苦手
・ASDのコミュニケーションは理解されづらく、
「普通だったらわかるでしょ」がわからない

■20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介
※幼児期から小学生まで
Case1 何にでも手を出して、勝手に遊んでしまう
Case2 特定の子と一緒になると、いつもケンカになる
Case3 自分からは話しかけるのに、人の話は聞かない
Case4 いたずらして注意されると、むしろ調子に乗る
Case5 学校での生活に、いつまでたっても慣れない
Case6 園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる
Case7 外出先の病院などで、ちゃんと挨拶しない
Case8 タンスに登って飛び降りるので、危ない
Case9 着替えや食事などの生活ルーチンが身につかない
Case10 ささいなことで、かんしゃくを起こす
Case11 偏食があって、なかなか変わらない
Case12 真冬でも、半袖・半ズボンを着ている
Case13 学校で教室移動中に、廊下を走り出す
Case14 褒められたのに、先生の腕をかんでしまった
Case15 大人に注意されると、腰砕けな答えを返す
Case16 文章の細かいところを気にしすぎる
Case17 質問されると、すぐに「わからない」と言う
Case18 話し方が変わっていて、同級生と打ち解けない
Case19 自分の意見を言わず、まわりに合わせてしまう
Case20 元気に学校に行っていたのに「突然不登校」に

■エピローグ 
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