現場の人に聞いた一次情報に勝るものはない
――本作は、ジャーナリストの伊藤カズキがチアキの猟に同行することでストーリーが進んでいきますが、安島先生自身はどんな取材をされたのでしょうか。
連載開始前から今まで、合計で5、6回は北海道で取材をさせてもらっています。初回の取材でいいハンターさんたちに出会えたので、そこから人のつながりでネットワークが広がっていきました。今も逐一電話で新鮮な情報をもらえていて、本当に助かっています。
――ナマの情報を得られていることが、作品のリアリティにつながっているんですね。
そのとおりです。書籍やWebでも情報は手に入りますが、現場の人に聞いた一次情報に勝るものはないですから。
――チアキの銃に「ウィンチェスターM70 プレ64」「ウィンチェスターM12」「エアアームスS410」の3丁を選んだ理由を教えてください。
理由…まったくないです(笑)。漫画家としてド定番は嫌だなという気持ちはあって、こだわりのあるものにしたかったんですが、監修の佐藤一博さんがそれにピッタリの銃を提案してくれました。ちなみに、コミックスのおまけページにあるコラムは佐藤さんが執筆してくれているんです。あれ、すごくいいですよね。なかなかあんなに面白い文章を書ける人はいないと思っています。
――読み応えがあり、かといって重過ぎず、すごくいいエッセンスだなと思っていました。ちなみに、銃を描写する際の資料はどうしているのでしょう。
資料はモデルガンとか、あとは動画ですね。そのモデルガンも佐藤さんにもらったんです。
――佐藤さんとの出会いは、作品にとって重要なポイントなんですね。
ですね。はじめて佐藤さんに会ったとき、実は監修をお願いするなんて考えてもなくて。ただ取材として彼が経営する銃砲店を訪れたんです。そしたら意気投合しちゃって、5、6時間は話し込んだかな。いつの間にか監修をお願いする流れになって、彼も二つ返事で監修も引き受けるよと言ってくれました。
その帰りに、これ持っていきなよ、とM70のモデルガンをくれたんです。たぶん10数万円はするものですよ。そこで完璧に佐藤さんに惚れちゃいましたね。まぁ僕のネームが面白かったから高待遇だったのかもしれませんが(笑)。
――それもまた、事実だと思います。
いや、でもそんなことないんです。当時はまだ初期の初期のネームで、そこから何度も直して連載の1話目になってますから。と言いつつ、今振り返ると3話、4話もまだ悩みながら描いていたことを思い出しますね。個人的には、この後の5、6話からすごくノってきたので、この記事を読んでいる人にはぜひ、この先も読み進めていってほしいです(笑)。
【漫画】「クマ撃ちの女」
【漫画】「クマ撃ちの女」第3・4話を読む(漫画を読むをクリック)
取材・文/鳥山徳斗