長い減少傾向にコロナ禍が追い打ちをかけ、オワコン化寸前のファミレス

ファミリーレストランというビジネスモデルはもう古く、おのずと衰退していく運命にあると言われて久しい。
業界全体の店舗数は、だいぶ前からなだらかな下降線をたどっていた。
そのうえ飲食業界を直撃したコロナ禍が追い打ちとなり、ファミレスはいよいよオワコン化の瀬戸際を迎えているようなのだ。

特に、和・洋・中華・エスニック等のメニューを満遍なく総合的に取り揃える、“ザ・ファミレス”的な店には厳しいところが多いらしい。
その一方で、ロイヤルホストのように、“ザ・ファミレス”でありながら店舗数をキープしているチェーンもあり、一概にファミレスという業態の構造自体に問題があるとは言いにくいようだ。

だけどまあそのへんの小難しい話や個別チェーンの分析は、外食業界の専門家やマーケティングマンたちに任せ、僕は減少の一途にあるファミレス界について、門外漢として感覚優先のゆる〜い論を展開したいと思っている。
この先は、それでもいいやと思える人にだけ読んでいただきたい。

ちなみにファミリーレストランという言葉は、広義では回転寿司や焼肉店、ステーキ&ハンバーグ店、中華専門店、イタリアンなども含めた、カジュアル系の大手チェーンレストランすべてを指すようだが、僕が思いを馳せているファミレスとは、老若男女向きでオールジャンルのメニューを取り揃え、4〜5人単位のボックス席が並ぶ典型的な“ザ・ファミレス”のことなので、そこんとこもよろしくお願いします。

illust AC
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1969年生まれの僕がそんなファミレスに対して感傷に近い思いを持つのは当然で、ファミレスが隆盛だった1980〜90年代前半、僕はちょうど10代から20代という人生でもっとも多感な時期を迎えていた。
家族の食事の場から“若者の居場所”へと発展した、ファミレスの機能をフル活用してきたのは、僕のような現在50代を迎えている世代が中心なのではないかと思う。
東京のあちこちのファミレスのボックス席には、家族や友人たちとの記憶から、甘酸っぱかったりほろ苦かったりする青春時代の思い出まで、たくさん落っこちているのだ。

『デートではファミレスを使うな』というホットドッグプレス的マニュアルを遵守し、やや遠ざかり気味だった時期を経て、家族を持った今世紀以降、再びファミレスのヘビーユーザーに戻った。
俺はステーキ、ママは坦々麺、娘はオムライス。
そうしたてんでバラバラな一家の要望に応え、しかもそれぞれの料理がきちんと美味しいファミレスはやはりとても便利で優しく、これからもどうぞよろしくと思っていたというのに、このままオワコンとなってしまうのはいかにも残念なのである。