人が皆(?)“石”好きなのは、太古から受け継いだDNAが疼くからなのか?

幼い頃から、僕は石が好きだった。
まあ小さな子供はたいてい石ころが好きなものだけど、僕は成長して大人になってからもずっと好きなままである。
そして、これまた特に珍しい話ではない。

経済的に高い価値のある宝石や、スピリチュアルな意味づけをされているパワーストーン、優雅な建材として重宝される御影石や大理石、それに城郭の石垣やピラミッドなどまで。
そんなあれやこれやを引き合いに出すまでもなく、人間はそもそも石が大好きなのだ。
きっと石を使って道具をつくったり、珍しい石や鉱物を貨幣と見なしたりしてきた、太古人類から受け継ぐDNAが疼くのだと思うけど、そんな話をはじめるときりがなくて、いつまでも本題に入れないからやめておこう。

家の中には購入したり拾ったりした石がたくさんある
家の中には購入したり拾ったりした石がたくさんある
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僕は宝石やパワーストーンばかりではなく、そこらに転がっている路傍の石に強い魅力を感じ、身辺に置いておきたくなって拾うこともよくある。

だから“石屋”になってしまった男の惨めな日々を描いた、つげ義春『無能の人』を初めて読んだときは、「なんだか少し自分に似ているな」と思い、身につまされるような気分になったものだ。

僕の場合は水石(すいせき)などという高尚な趣味にまで到達することなく、持ち帰っただけで満足してその辺にうっちゃっておいた挙句、しばらく経ってから「なんでこんな石が家にあるんだっけ?」と首を傾げたりするんだけれども。

「無能の人」 つげ義春 著
「無能の人」 つげ義春 著

そんなしがない中年男のささやかな楽しみを支援してくれるアプリを見つけたので紹介したいと思う。
「Rock Identifier」というものだ。
使い方は簡単。スマホのカメラレンズを使って鉱物をスキャンすると、アプリがアルゴリズムとAIの力を駆使し、瞬時にその石の名前や特性を教えてくれる。
僕のような生半可な知識しか持たない文系の石好きにとっては、なかなか素晴らしいお役立ちアプリなのである。

名のある宝石やパワーストーンでもない普通の石は、その形や色にビビッと来て拾い上げても、素人だとそれ以上のことは何もわからない。
図鑑で調べても、ありふれた石ころは表面の色も質感も似通っていて、種の同定まではなかなかできなかったりする。
でもこのアプリさえ使えば、そんな問題があっさり解消するのだ。

「Rock Identifier」で石をスキャンしているところ
「Rock Identifier」で石をスキャンしているところ