2年前にツキノワグマと遭遇した恐怖体験
今回、被害にあった女性宅の近隣に住む男性は、2年前に遭遇した恐怖体験を思い出したという。
「10月は冬眠前のクマがうろつくことがある。自分も2019年10月2日にツキノワグマと直面しました。その年も近所で目撃情報があり、子どもたちの登校を見守ったあとの出来事でした。クマの捜索の合間にいったん帰宅すると、自宅付近にツキノワグマが丸まって座ってたんです」
クマと目が合ったが、叫ぶことはしなかった。
「あまりに突然のことだったので、声を出しそうになりましたがこらえました。目を合わせたまま、ソロソロと後ずさりして、家の中に入りそのまますぐに通報。クマはその日の昼過ぎに仕留められました。体長1m20㎝ほど、体重140kgのオスでした」
男性は死亡した70代の女性とは幼少期からの顔見知りだったという。
「ここ10年くらいは顔を見れば挨拶する程度でしたが、あのお宅には同じ小中学校に通っていた僕のひとつ年上の息子さんがいて、ご近所さんという感じでした。お母さん(70代女性)は気さくな方でしたよ。
そのお母さんはクマに驚いて、つい声を出して刺激を与えてしまったのかと想像します。幼いころから顔を知ってるだけに、本当にいたたまれません」
そして今回の事件も他人ごとではないと、男性は身を引き締める。
「市役所も猟友会の方々も懸命に動いてくれてますが、やはりクマが出没する危険のあるこの地に住む者として、自分で自分を守る行動は取らないといけない。家の周辺はできるだけ藪にならないよう、草刈りを小まめにやって見通しをよくし、柿の実がついたらすぐに刈り取ってクマに狙われないようにするなど、今後も気をつけていきます」