女性を襲ったのは“OSO18”だったのか?
釧路市内から厚岸町の親戚の家へ遊びに訪れていた看護師の女性は、中型の日本犬を2匹連れて散歩に出かけていた。
舗装もされていない牧草地や林が広がるエリアでクマと遭遇し、後頭部を噛みつかれ、ふとももなどを爪で引っかかれ重症を負った。女性は車で消防署に運ばれた後にドクターヘリで釧路市内の病院に搬送された。
厚岸町環境林務課の担当者が語る。
「襲われた女性は重症で入院していますが、意識はあり命に別状はないとのことです。まだ話を直接聞ける状態ではないので現場の詳しい状況はわかりませんが、外れた犬のリードが落ちていた沢の周辺でクマに襲われたと見られています。その後、犬は無事に保護されました。
地元の人なら、木の生えてる場所であればどこにクマが現れてもおかしくないという認識を持っているので、まず 沢や森に無防備に入っていきません。
ですが、観光客の方ですと『山には1人で入らない』『薄暗くなったら入らない』などクマが現われる危険性をお知らせしていても、行者にんにくなどの山菜を取りに行ったり、釣りをしに入っていってしまうんです」
厚岸町は65頭もの牛を食い殺し、専門家の捕獲作戦の包囲網を幾度となくすり抜けてきた「忍者グマ」の異名をもつ“OSO18”という怪物ヒグマが潜んでいると言われる標茶町と隣接している。
これまで人を襲ったことのなかったOSO18だが、今回「ついに人間を襲ったか」と近隣住民も一時騒然としたという。
しかし、前出、厚岸町環境林務課の担当者が続ける。
「今回女性を襲ったクマは中型と思われますし、現場もOSO18が出没したエリアからは遠く、違う個体の可能性が高いと思います。今年は雪解けが早くOSO18の追跡もすでに始まっていますが、今のところ足跡を含め痕跡は見つかっていません。
現状は車を走らせ、足跡を見つけたら計測し、OSO18に酷似した足跡だったら集中的に人や監視カメラを投入してさらに追跡していこうということになっています。
ヒグマの生態に詳しいNPOでつくる特別対策班とともに追跡し、地元のハンターの猟友会とも情報の連携をとり動いていますが、正直、捕獲できる可能性はわかりません。雪が完全にとけたら牛も放牧されるので、また檻に餌をしかけた『箱罠』や『ヘアトラップ』などの罠をしかけます」