「朝ごはんを食べたくない」は脳からの危険信号
脳育ての一番はじめのステップである「からだの脳」は、太陽のリズムに沿って規則正しく生活し、しっかりと睡眠を取ることで育っていきます。
本来的には、「からだの脳」は0歳~5歳くらいまでに育ちます。しかし、私たちの「子育て科学アクシス」には、「からだの脳」がまだ十分に育っていない子どもの親御さんが多数来られます。幼児を持つ親御さんはもちろん、中には、高校生以上の成人している子どもを持つ親御さんまでいます。
ご相談の多くは、子どもの不登校や行動・情緒の問題についてです。
そういったご家庭にまず実践してもらうのが、子どもの「生活の軸」を整えること。決まった時刻に寝て、決まった時刻に起きることで必要な睡眠時間をたっぷり取る。たったそれだけで、子どもたちの様子は見違えるように変わっていきます。
あなたのお子さんは、朝起きられなくてベッドでグズグズしたり、「朝ごはんを食べたくない」などと言ったりしていませんか。これは、脳育ての観点から見ると危険信号です。睡眠不足により、自律神経が十分に機能しなくなってきている可能性があります。
自律神経は、睡眠中やリラックスしたときに主に働く「副交感神経」と、起きているときや緊張したときに主に働く「交感神経」からなっています。朝起きても眠いのは、本来働くべき交感神経が働かず、副交感神経が優位に働いてしまっているから。さらに、睡眠中には副交感神経が活発に働いて食べ物の消化を促すのですが、睡眠不足だとその働きが弱くなり、朝に食欲が湧かなくなってしまうのです。
もしお子さんが睡眠不足ならば、「生活の軸」を整えましょう。まずは、朝早起きをするところから始めることをおすすめします。これがよりよい脳を育てていくための大前提です。
朝起きたらカーテンを開ける。目から太陽の光を入れて、視覚に刺激を与えることで脳が目覚めます。朝風呂に入るのも、体温を上げて目覚めをよくする効果があります。余裕がある日は、5分でもいいので朝散歩をするとさらに脳が活性化されます。早起きして日中活動をすれば、理論的には夜には自然に眠くなります。
夜は、最低でも就寝の1時間前からは、テレビやスマホなどを見ないことが大切です。画面から発せられるブルーライトが目に入ると、脳内に分泌されるメラトニンの量が減って脳が眠気を感じられなくなってしまいます。
入浴も、就寝の1時間以上前には済ませましょう。熱いお湯につかると体温が上がって交感神経が刺激され、寝つきが悪くなりやすいからです。時間に余裕がなければシャワーで済ませるか、朝、お風呂に入ることにしましょう。
文/成田奈緒子、上岡勇二
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