【感染症】バイオテクノロジーによりマラリアを削減
日本ではあまり馴染みがありませんが、世界の三大感染症のひとつであるマラリア。
現在でも熱帯・亜熱帯地域での流行が継続しており、毎年数億人レベルで感染、死亡者数も数十万人という状況です。
マラリアは、マラリア原虫という寄生虫を蚊が媒介することで、感染が広がります。そこでマラリア原虫を持たない、持てないような蚊を、遺伝子組み換え技術などで行う取り組みが進んでいます。ここでもマイクロソフト、ビル・ゲイツ財団が積極的に投資しています。
具体的なテクノロジーは「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」。2020年にノーベル化学賞を受賞した技術でもあります。受賞したのは、ドイツの研究機関とアメリカの大学の研究者2人ですが、元となるアイデアや技術は日本人研究者が、1980年代に発見しています。
仕組みは至ってシンプルです。ハサミのような機能を備え、特定のDNA配列をハサミで切断し、遺伝子の配列を組み換えます。
そもそも、バイオテクノロジーと聞くと、医療・ヘルスケア領域の取り組みをイメージする人が多いと思います。
しかし、そもそもバイオテクノロジーとは「Biology(生物学)」と「Technology(技術)」を合わせた言葉です。
医療分野に限らず、人も含めた動物、植物などさまざまな生物を研究することで、人類の生活や暮らし、ビジネスで役立つような技術を開発しよう、というものです。ですから農業分野での品種改良、食品分野では醸造発酵に関する研究や技術、化粧品、環境など幅広い分野で取り組まれています。
栄養価が高く、それでいて環境変化にも強い果物を生み出す、といった研究などもあります。新しい組み合わせを試すこともできますから、まるで本物のお肉のような、植物由来の人工肉を作る取り組みも、バイオテクノロジーの一環と言えます。
大豆からお肉を作っているベンチャー、インポッシブル・フーズの取り組みなどはその代表例です。
エイズ、結核といった残る世界の三大感染症に対しても、マラリアと同じようにテクノロジーを使い、世界から根絶させるために取り組んでいる企業や財団は多くあります。
この先の未来では、これらすべての感染症がなくなる日が来るかもしれません。