脂肪細胞は無限の貯蔵庫、200㎏や300㎏まで太れる
「男性はともかく、女性は皮下脂肪がつく洋梨肥満型が多いでしょ。だから関係ないんじゃない?」
実は、そうとは言い切れません。
内臓脂肪を蓄えるりんご型肥満には男性が多いと言われていますが、女性も50代以降は内臓脂肪型肥満が増えてくるので油断は禁物なのです。もともと女性は皮下脂肪がつきやすいのですが、閉経後にエストロゲンの分泌が減ることにより内臓脂肪がつきやすくなり、生活習慣病のリスクも高まります。
「そもそも脂肪はどのようにして体の中に蓄積されていくの?」
確かに、それを知っている人は多くないかもしれません。まずは、脂肪が蓄えられる順番と脂肪が使われる順番を覚えておくといいでしょう。
食事から摂った栄養は体内でエネルギーとして利用されます。しかし、糖質などを必要以上に摂取した場合はそのエネルギーを使い切ることができず、予備のエネルギー源として筋肉や肝臓にグリコーゲンという形で保管されます。
ただし、筋肉や肝臓は保管できる量に限りがあり、ここでも余った分のエネルギーが脂肪細胞へとまわされます。
脂肪細胞はとても柔軟性があり、元の大きさの何倍にも膨れ上がることができる無限の貯蔵庫。大量に食べて動かない生活をしていたら、200㎏や300㎏まで太れるのも脂肪細胞がエネルギーを受け入れてくれるからなのです。
痩せて健康になりたい。その願いを叶えるためには、内臓脂肪を落とさなければなりません。
蓄えた脂肪をさっさとエネルギーとして消費できればいいのですが、エネルギー源となる血液中の糖が不足すると、まずは、筋肉や肝臓に蓄えたグリコーゲンからエネルギーを作ります。脂肪が使われるのはその後。グリコーゲンが枯渇してからようやく脂肪がエネルギーとして使われるのです。
脂肪がエネルギーとして使われることを「脂質代謝」と呼びますが、このスイッチがオンになるのは、食後10時間ほど経ってグリコーゲンがなくなってから。
週1夜断食では、週1回の夜断食を基本として、空腹の時間が16時間以上になることを推奨しています。
その理由がまさに脂質代謝で、空腹時間が12時間以上になると脂肪の分解がさらに促進され、16時間以上になると細胞の生まれ変わりを促進するオートファジーが最大限に働くようになります。これらの効果によって、効率よく脂肪をエネルギーとして消費できるようになり、内臓脂肪を落としていくことができます。
「週1回で効果があるの?」
という質問をよくいただきますが、実際に患者さんにも試していただいて、心身にいちばん負担なく効果を得られるのがこの週1回の夜断食でした。
週1回、16時間の空腹時間を持つことで胃腸を休ませてその働きを活性化し、脂肪を蓄えてばかりいた体に脂質代謝のスイッチをオンにするという強いメッセージを送ります。
そして、味覚にも変化が起こることで、翌日以降の食事内容が変わっていきます。これらが総合的に作用して、心身に負担なく、体を内側からととのえていくことができるのです。
文/関口賢 写真/shutterstock
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