通知音が鳴るだけで低下する集中力
そこで私たちは、インスタントメッセージの通知がもたらす精神的な焦りや不安などが、子どもたちの勉強中の集中力を下げているのではないかと考えました。
東北大学の学生さんたちにご協力いただき、平均年齢約22歳の大学生21人を対象に、LINEの通知音が集中力に与える影響について調べました。
実験には同性の友人同士の3人組で参加してもらいました。まずは10分間、3人で自由にLINEのグループトークをしてもらい、その後に、3人のうち1人だけ別室で集中力を測る心理検査を受けてもらいました。
検査は、パソコンの画面に「〇」が表示されたらできるだけ早くボタンを押す、「×」が出たらボタンを押してはいけない、という単純なものです。やることは単純なのですが、いつ画面にマークが出るのかわからないので、集中して画面をじっと見続けなくてはいけません。
実際にやってみると、かなりの集中力を要する課題なのです。パソコンで課題に取り組んでいる間、学生さんの背後に自分のスマホを置いてもらいました。そして、「課題中はスマホを触ってはいけません」という指示をしました。実際の実験室の様子が[図2-12]の上の写真です。
検査をしない残りの2人には、LINEでグループトークを続けてもらいました([図2-12・下])。すると、パソコンで集中力を調べる課題に挑戦している学生さんの背後のスマホに通知が届き、音が鳴ります。しかし、検査中のため見ることができません。このようにして、「勉強中にLINEの通知が届いて、気になってしょうがない……!」という状態を実験室の中で再現したのです。