性的少数者を受け入れる国、GDP上昇も

6歳の息子と夕食の準備、遊園地に家族旅行―。スウェーデンに住む中村光雄さん(通称みっつん)は、そんな家族の日常を動画投稿サイト「ユーチューブ」発信する。チャンネルの登録数は19万人に達する。

性的少数者を受け入れている国ではGDP上昇も…欧米で進む多様な家族の形を認_4める社会がもたらすもの_4
「ふたりぱぱ」として活動中のみっつんさん

人気の背景は中村さん家族にパパが2人いることだ。中村さんのパートナーはスウェーデン出身の男性、リカルド・ブレンバルさん。息子は米国のサロガシー(代理母出産)で授かった。「スウェーデンではどのような家族も平等に生活できる」と中村さんは話す。

性的少数者の国際支援組織ILGAによると、北欧や米英、ドイツなど多くの先進国が同性カップルの養子受け入れを認めている。日本は主要7カ国(G7)で唯一、同性パートナーシップを認める国の制度がなく、特別養子縁組も婚姻関係のある男女に限られる。

同性婚を認めれば少子化がすぐ改善するわけではないが、誰もが住みやすい社会は成長の源だ。

米マサチューセッツ大学アマースト校のリー・バジェット氏らは、性的少数者を受け入れる社会を測る8段階の指標をつくり、132カ国を分類。1ポイント上がると1人あたり国内総生産(GDP)が約2000ドル上昇する関係があったという。

子どもを産みにくくする旧来常識は婚姻だけではない。家事の負担を巡る男女間の不平等、キャリアと子育ての両立、多様な生き方を抑圧する風潮―。当たり前を問い直し、家族観と制度をアップデートしなければ、深刻な少子化から抜け出すヒントはつかめない。