デンマーク 子への義務、制度で厳格に
家族の多様性を認める国は出生率も高いことが知られている。代表例が北欧のデンマークだ。家族の幅広いあり方を認め、それを支える自由と責任が国の制度として確立している。
経済協力開発機構(OECD)によると、デンマークで産まれた子どもに占める婚外子の割合は2017年に54.2%と半数を超す。2.2%の日本とは大きな違いだ。
子どもが生まれてから結婚したり、法律婚によらないパートナーシップを選択したりと、それぞれの事情に合わせて人生を選択する。国の制度もそれを前提に設計されている。合計特殊出生率も17年時点で1.75と日本のを1.43を上回る。
「様々な家族のかたちに対応するため、デンマークでは子どもの養育に対し原則、生物学上の両親が最終責任者であることが明確に決められている」。同国の家族制度に詳しい京都ノートルダム女子大の青木加奈子准教授は指摘する。
結婚しているかどうかにかかわらず、父親には親としての責任がある。結婚していない場合はオンラインで父親登録をする。父母のパートナー関係が終わり、子どもと別居しても親は子どもの生活を支えるため、養育費の支払いや定期的な面会をする。養育費については税金の控除制度のほか、行政機関が代わりに前払いし後に親に請求するといった仕組みもある。
婚外子割合は家族の多様性を示す指標といえる。人口学によると、先進国では婚外子割合と合計特殊出生率に相関がみられる現象が1990年代以降続く。スウェーデンやデンマークなどは婚外子割合が高く、出生率も高い。南欧諸国やドイツ、日本は逆だ。