統計が示す「一生結婚するつもりはない」風潮の高まり

多様な家族を認める社会では婚外子割合が結果的に高く、出生率も高まる可能性がある。逆に社会が想定する家族のかたちが画一的だと、それ以外の子どもを持ったとたんに支援の網をすり抜ける。その結果、子を持つのをためらわせる風潮をつくりかねない。

国立社会保障・人口問題研究所の2021年の調査では、日本の30~34歳の未婚男性の27.2%、同女性の20.4%が「一生結婚するつもりはない」と答えた。同割合は約20年前の02年調査に比べ男性で19.9ポイント、女性で11.9ポイント上昇した。

「いずれ結婚するつもり」は男性で70.8%、女性で77.5%と多数派ではあるが、約20年間で男性は13.0ポイント、女性は7.6ポイント低下した。

日本で「結婚離れ」が広がっているのは経済的要因など様々な背景があるが、多様なニーズやリスクを受け止められない社会と制度がその一因となっている可能性もある。

#1 少子化克服は100年かかる国家事業--人類史上初の人口減時代、労働輸出国の若者が減り始めた世界で「今後30~40年は移民を巡っての競争になる」
#3 【縮小ニッポンの本音】「親より豊か」は1割どまり、「家計が苦しい子持ち家庭」は7割、という統計の現実

『人口と世界』(日経BP 日本経済新聞出版)
日本経済新聞社
性的少数者を受け入れている国ではGDP上昇も…欧米で進む多様な家族の形を認める社会がもたらすもの_6
2023年6月24日
¥1,980
260ページ
ISBN:978-4-296-11624-9
人類史上初!人口減時代迫る
忍び寄る停滞とデフレ、不安定な年金制度、移民なき時代の到来・・・
危機にあらがう各国の戦略とは?

・「豊かになる前に進む高齢化」苦しむ中進国
・新たな時代の「移民政策」に揺れる 欧州の懊悩
・「おひとりさま」が標準に 孤独との共生
・「縮む中国」 衰退が招く安全保障上の危機
・出生率を上昇させたドイツの「両親手当」
・「多様さ」認め、寛容な社会目指すデンマーク
・人口より「生産性優先」のシンガポール

これまで人口増を頼りに成長を続けてきた世界。
いまも進みつつある人口の減少は、社会に大きなひずみをもたらした。
一方で、独自の視点から問題に立ち向かう政策が功を奏した国も――
日本の進むべき道はどこにあるのか。
いまある危機を直視し、未来を共に考える日経新聞一面連載を加筆のうえ書籍化。
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