こんな兆候は、ブラキサーのサイン?

歯ぎしりや噛みしめは誰にでもある習癖ですから、とくに問題がなければ、放置しておいてもかまわないと思いますか。

私も歯ぎしりがありますが、あまり歯もすり減っていませんし、いまのところ困るようなこと(知覚過敏や噛んで痛い歯の問題)は起きていません。しかし、多くは無自覚にしていることですから、知らないうちにお口に悪影響を及ぼしていることがあります。

たとえば、みなさんの中には、次のような兆候はないでしょうか。

・歯ぐきが退縮して、歯が伸びてきた。歯の根が見えてきた。
・歯の付け根(歯肉との境目)がくぼんだり、えぐれてきた。付け根に段差ができてきた。
・冷たいものをとると歯や歯ぐきがしみる。何本もの奥歯がしみる。
・詰めものやかぶせてあった銀歯などが外れたり、取れたりする。

大切な歯を失ってしまうかもしれない“ブラキシズム”とは? 「原因不明の偏頭痛」「犬歯の尖りがなくなった」「歯の付け根にくぼみ」の兆候には要注意_1

こうした変化は、ブラキシズムの力のせいかもしれません。

また、歯科医師であれば、患者さんのお口を見ただけで、ブラキシズムがあるかないかわかります。

ブラキシズムのある人(ブラキサー)には、共通の歯の形があるからです。これはみなさんでもわかりますから、一度鏡でご自分のお口の中を見てください。

まず、正面の歯から三番目にある犬歯(糸切り歯)の先は、どうなっているでしょうか。犬歯は、糸切り歯というように歯の先が尖っています。ところが、それが尖っていないで、ナイフで切り取ったように平らになっていませんか。

もう一つは、前歯や奥歯の歯の頭が削れて、中の象牙質(少し黄色味がかった部分)が見えていませんか。

こうした歯の減り方や削れ方は、決して食事ですり減ったものでも、長く使っていたからでもありません。

歯の表面は、エナメル質という硬い層で覆われています。この硬さは、自然界ではダイヤモンドに次ぐといわれるくらい硬いもので、食事や、長く使っていたくらいで減るようなものではないのです。

なぜそんなに硬いエナメル質がすり減るのかというと、エナメル質同士が強い力でこすり合わされて、少しずつ表面からなくなっていくからです。硬いダイヤモンドを、ダイヤモンドの粉で研磨するのと同じ理屈です。

その結果、エナメル質で覆われていた中の象牙質が出てきたり、犬歯の先が平らになったりして、冷たいものがしみたり、痛みが出てくるのです。