医師の言うことをうのみにしない

最近、とある週刊誌の取材で、「医師に嫌われないように、医師が出した薬や手術案について、角を立てずに断る方法はありますか」という質問を受けました。

残念ながら事を荒立てずにすむ方法はありません。そもそもほとんどの医師が自分の出した診断、考え方といったものを変えることはありませんから、患者が疑問に思ったり、こちらのほうが正しいと思ったりしても医師に忖度して何も言わなければ、軽くあしらわれてしまいがちです。角が立ってもいいから、『イヤだと思っている治療を押しつけるなら訴えるぞ』ぐらいの態度をとらないといけません。医師は訴えられると思ったとたんに態度を変えますよという話をしました。

同様に、患者さんやその家族で手術の費用とは別にお礼を渡そうとする人がいますが、これは医師からすれば「手術を失敗しても大丈夫な患者だな」と思われてしまうかもしれないので、それよりは自分の病気や薬のことを少し勉強して「失敗したら絶対訴えるぞ」といったオーラを出しておけば、医師からは嫌われるかもしれませんが、そのほうがよほど医師は手を抜かず治療をやってくれます。

高齢者になっても医者にノーを突きつける、お金の使い道を考える…前頭葉が活性化する、寿命ではなく幸せを延ばす方法とは?_1
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医師にも「ノー」を突きつける

ご存じの方も多くいると思いますが、外科で手術を受けるときに、一般的には手術の危険性などを説明してもらい、双方が納得のうえ(インフォームドコンセント)で手術を受けることになりますが、わたしの経験上、内科医は、たとえば血圧の薬を出す際に、「その薬を飲むと頭がボーッとするよ」「ヨロヨロすることがあるよ」とは教えてくれませんでした。

わたしたちは、医師にはもっといろいろな要求をしていいし、世の中にはたくさんの医師がいるのだから、一人や二人の医師に嫌われてもたいしたことではありません。

「薬は服用したくない」「手術は受けたくない」「延命治療は受けない」など自分の思っていることを正直に伝え、それを医師が受け入れてくれるかどうかを確認してみるといいのです。話を聞いてもらえず、自分の治療を押しつけるような医師、会うと威圧的でイヤな気持ちになって気後れしてしまうような医師だったら、その医師はやめて別の医師を探すべきです。

できないことが増えてくる老年期はけっして長くありませんし、たった一度しかない人生です。言いたいことは言い、自分らしく生きることのほうを重視したほうがよっぽど幸せだと思いませんか。