1『徳川家康』(山岡荘八著)
徳川家康の生涯を綿密に描いたロングセラー作品。韓国では「大望」というタイトルで翻訳され、ベストセラーとなっています。日本よりも処世術を学ぶ書として政財界で広く読まれていたようで、韓国の朴槿恵(パク・クネ)元大統領も愛読していたといわれています。
2『武田信玄』(新田次郎著)
『風の巻』『林の巻』『火の巻』『山の巻』と4巻にわたって、武田信玄の一生を追っています。信玄がどのようにして部下を掌握していったかを知る上では非常によい本だと思います。新田次郎は信玄にも縁が深い長野県諏訪の出身であり、この作品に強い思い入れがあったようです。
3『雄気堂々』(城山三郎著)
「近代日本資本主義の父」と評される渋沢栄一が主人公の小説です。城山三郎は「経済小説」という分野を開拓した第一人者であり、経済人の生涯を学ぶ上でおすすめの作品がたくさんあります。名古屋出身の経済人たちを描いた『創意に生きる中京財界史』なども一読をおすすめします。
4『世に棲む日日』(司馬遼太郎著)
幕末の長州藩を描いた長編小説。前半では松下村塾で維新の志士たちを育てた吉田松陰の青春時代を描き、後半では門下生であり奇兵隊を結成した高杉晋作の活躍を追っています。人材教育という意味では、いかに情熱を持って人を育てるかを学びとることができる作品です。
5『塞王の楯』(今村翔吾著)
手前味噌で恐縮ですが、合戦を支えた裏方にスポットを当てた作品であることを多方面から評価していただいています。私自身も「裏方を描く」という点を強く意識した作品ですし、職人たちの仕事ぶりや人材活用についても丹念に描きました。
池波正太郎に学ぶ「死」と「金」の話
月100万も領収書無しで経費を使える政治家に問う
文/今村翔吾
写真/すべてshutterstock