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「サバ缶がダイエットにいい」

近年人気が高まった「サバ缶」を主な題材として、水産加工の世界について解説していきます。すっかり水産加工品の代表格ともいえる地位を築き上げたサバ缶。しかし、2000年代まではそれほど人気が高かったわけではありません。

まずは、サバ缶ブームがなぜ起きたかを探ってみたいと思います。

【記録的なサバ不漁で起きた“サバ缶ショック”】なぜサバ缶はツナ缶を超えて魚缶売上ナンバーワンになったのか?_1
サバ缶
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サバ缶ブームは、これまでに3度あったといわれています。それらは、一過性で起きた「点」の出来事というよりも、時代の変化と相まって、それぞれがつながって起こった「線」の出来事となっていることが特徴的です。

まず、第一次サバ缶ブームといわれる現象が起きたのは、2013年。テレビ番組で「サバ缶がダイエットにいい」と紹介されたことがきっかけです。人気が一気に高まり、一時期は売り場からサバ缶が消えるくらいにバカ売れする事態に至りました。

【記録的なサバ不漁で起きた“サバ缶ショック”】なぜサバ缶はツナ缶を超えて魚缶売上ナンバーワンになったのか?_2
サバ缶サラダ

この第一次サバ缶ブームをマーケティング的に分析するなら、女性という新たな顧客層の心を掴んだことがポイントとなっています。

以前はどちらかというとお酒のおつまみとして、年配男性の食べ物だったサバ缶。それが報道により、「中性脂肪を減らす不飽和脂肪酸EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むダイエット食」というイメージに変わりました。

そして、岩手缶詰の「サヴァ缶」に代表されるお洒落なサバ缶が誕生して定着し始めたのもこの頃。「サヴァ缶」が震災復興の中で開発されたように、様々な新しいサバ缶が地域おこしの活動とも連動して次々に発売されていったのです。

さらには、もっぱら和風だったサバ缶レシピにも変化が起こります。例えば、パスタの具材など洋風の食べ方も普及し、使われる場にも幅ができました。この結果、サバ缶ブームは一過性のものに終わらず、顧客の心を掴み続けることにつながっていったのです。