公立校でも優秀な選手を集められる仕組み

続いて「情報」にまつわるデータです。強豪高の多くは、様々な制度を使って、有望な選手を入学させています。入学金や授業料が免除されるのがスポーツ特待生制度、入学金や授業料の免除はないもののスポーツでの推薦枠で入学できるのがスポーツ推薦生制度です。

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▼スポーツ特待生制度
あり 58.7%
なし 41.3%

▼スポーツ推薦生制度
あり 43.5%
なし 56.5%

▼スポーツ特待生・スポーツ推薦生の人数
1~ 20人 42.4%
21~ 40人 21.2%
41~ 60人 21.2%
61~ 80人  6.1%
無記入  6.1%
81~100人  3.0%


スポーツ特待生やスポーツ推薦生以外にも、入学してからスポーツや学業での成績が優秀な生徒に対して、奨学金を出す学校もあるそうです。

甲子園で私立優位の勢力図になっている一因と考えられる一方、公立校でも地域によっては優秀な選手を集める仕組みがあります。東京都では「文化・スポーツ等特別推薦」という制度があり、実質的なスポーツ推薦生を募集する公立校も存在します。

私立高校の指導者から「学費を考えれば公立は全員特待生のようなもの」という声を聞いたのは、一度や二度ではありません。

公立・私立にかかわらず、それぞれの方法で優秀な人材を確保するために躍起になっているのです。

「招待試合」の功罪

次に強豪校の年間練習試合数です。ここえは「51~100試合」が6割以上となりました。

▼年間練習試合数
51~100試合 63.0%
101~150試合 26.1%
151~200試合  4.3%
1~ 50試合  2.2%
201~250試合  2.2%
無記入  2.2%

チームを強化するためには、実戦経験は欠かせません。そのため、強豪校と練習試合を組みたいと考えているチームはたくさんあるでしょう。

しかし、強豪校に練習試合を申し込んでも、スケジュールが埋まっていると断られるケースが多いはずです。なぜなら、毎年同じ時期に同じチームと練習試合をする定期戦のような形式が多いためです。練習試合をした際に「来年もこの時期でお願いします」と、1年後のスケジュールを押さえておくのです。

また、高校野球には「招待試合」というイベントがあります。都道府県の高野連や自治体などが主催となり、強豪校を文字通り「招待」して試合を行うのです。

招待する側は強豪と対戦する機会が得られて地域のレベルアップにつながり、招待されたチームは高額な遠征費が抑えられ、地元の野球ファンは有名チームが見られて喜ぶ。それぞれにとってメリットは大きく見えます。

ただし、招待試合で戦えるのは公式戦で上位進出した限られた学校だけ。試合ができず、不公平だと感じている野球部もあるそうです。特定のチームが戦うのではなく、地域内で選抜チームを組むという方法もあるでしょう。