宗教は自分ひとりでおやりなさい

宗教は、人生相談のようなものです。仏教もキリスト教もイスラム教も、愚かで残酷で無力な人間たちがこの世を生き抜くためにさまざまな法話を作り、戒律を生み出して、人々を導いてきたものです。生きていく上でのヒントは宗教書の中に書かれていますから、それを研究するのは、けして無駄ではありません。

ですが私は、宗教団体に入ることはお勧めしません。これ見よがしな儀式や偶像崇拝、献金をする必要はないからです。聖書や教典を自分で研究するほうが、ずっとずっと人生の役にたちます。

例えば仏教書には、こんな話があります。昔、お釈迦さまが瞑想していると、ダイバダッタという悪魔が邪魔をしにきました。セクシーな美女になって誘惑したり、母親に化けて泣き落とそうとしたり、さまざまな形で修行を邪魔しようとするのですが、お釈迦様は動じません。すべて見破り、悪魔を撃退して、悟りを開いたのです。

こういうお話を読んだら、自分の人生に当てはめてみればよいのです。今、あなたの邪魔をしているのは、同じような悪魔かもしれません。意地悪な同僚になったり、イケメンの誘惑者になったり、セクハラオヤジになって、あなたの人生を邪魔しているのかも。そう解釈すれば、冷静に対処する勇気がわいてくるでしょう?

大切なのは、死なないですむ方法を精一杯考えることです。

自殺を考えているあなた。自殺さえすれば楽になると思っていませんか? 自殺すればその分、さらにつらい修行が必要になります。今のこの人生も、今を過ぎれば、また楽しいこと、うれしいこと、幸せなことも見つかります。

本当です。もう少し生きてみたら、本当かどうかわかります。


写真/御堂義乘

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『乙女の教室』(集英社文庫)
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737円
文庫 272ページ
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