前世なんて、知らなくていいのです

私がスピリチュアルなことを公の場で口にするのは、みなさんに、自分の人生を思い切り生きてほしいと思うからです。人生の大切さに気づかないまま漫然と生きている人、自分の命も他人の命も軽んじている人たちに、自分たちの命の重さ、大切さに気づいてほしいからなのです。

人間の魂は、何十年という肉体の寿命で計られるものではなく、何百年、何千年と生き続けます。最初は未熟な魂が、この世に生まれ出て修行を重ねることで、磨きをかけるためです。どんな困難にもめげず、人に優しく、自分の使命を全うできる、そんな崇高な魂になるまで、魂の修行は続きます。ひとり分の人生ではあまりにも時間が短いので、何度も何度もこの世に生を享け、次の人生を生きるのです。

ですから、どの人生も大切です。男になったり女になったり、黒人だったりアングロサクソンだったりアジア人だったり、貧乏だったり金持ちだったり、生まれて生きる環境はさまざまですが、その人生をきちんと生きなければ、修行に来た意味がありません。どんな幸せも、どんな不幸も、どんな波瀾万丈もきちんと生き抜くのが、この世に生まれ落ちた私たちの使命なのです。

生まれ変わっても、なんらかの記憶は残ります。生まれ変わりの回数が多いほど、さまざまな経験から得た知恵が積み重なり、人の心や痛みがわかるようになります。前世の記憶が趣味や特技に繋がり、今生を豊かにしてくれることもあります。

逆に前世の性癖や生活習慣の記憶が、今生の邪魔をすることもあります。その必要もないのに、わけもなく闘争的だったり、支配的だったり。何不自由ない環境なのに人をいじめたくなったり……。

私が前世について言及するのは、こうした混沌とした状況をなんとか救って差し上げたいからです。今こうしてしまうのは前世がこうだったからだとわかれば、本人は腑に落ちます。目からうろこが落ちます。前世の悪い習癖を直そうと、心の底から思えるからです。

しかし、すべての人が自分の前世を知る必要はありません。わざわざインチキ占い師のところに行って、「あなたの前世はカエルです」などとデタラメを言われて思い悩む必要はありません。知るべきときがくれば、なんらかの形で知らされるはず。今まで知らずにいたのは、知る必要がないからなのです。