知的障害と診断されても変わる可能性
医師の中には「知的障害のIQは一生変わらない」と言われる方々もおられますが、私は、それには疑問をもっています。知能検査で知的障害域のIQと出ても、数値は変わる可能性はあります。逆に一生変わらないことを証明するほうが困難ではないでしょうか。
近年、IQは思春期になってからも変化するという報告も出てきています。
2011年、英国ロンドン大学の研究チームが、12~16歳の思春期世代の被験者33人を対象にIQテストを行ったところ、4年後のテストでは20ポイント上昇した人がいることを確認しました(ただし、同じくらい下がった人もいたそうです)。
これだけで結論づけることはできませんが、それでも、そもそも子どもの脳、特に小さな頃の脳がどう変化するかは、未知な部分が大いにあります。
私は認知機能の弱い少年や子どもたちと多く関わってきて、トレーニング次第で大きく伸びる少年や子どもたちも少なからずいることを目の当たりにしてきました。
境界知能や軽度知的障害だとされても、要素的な認知機能(例えば注意力など)に関しては改善していく可能性はあります。程度に差はあれ、それが結果的にIQの変化にもつながらないと誰が証明できるでしょうか。
もしも子どもの可能性を「少しでも伸ばしてあげたい」と思っているのなら、今できることを前向きに取り組んでいく価値は十分にあると信じています。
文/宮口幸治
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