「ドリ車なので今日もバチバチにコーナー攻めにきた」

長年にわたり近隣住民の頭を悩ませている「深夜の騒音トラブル」。夕方ごろにコンビニ前で一服していたライダーの男性(30代)は、「299の夜はヤバい」と振り返る。

「以前、何度か夜にここ(国道299号)を走っていたことがあるんですけど、バイクの車体をななめにしたまま猛スピードでコーナーを曲がる『膝擦り』って走り方をする人もいたし、追い越し禁止なのに、いわゆる『イエローカット』と呼ばれる、強引な追い越しをしてくる人もいて、『ここはラリー場かよ』とツッコミそうになりました(苦笑)。
あと、そういう一部の人たちは、ドライブレコーダーに映らないように、車を抜かすときはライトを消して『無灯火』でスピードを上げるんです。命知らずというかなんというか、ちょっと危なすぎますよね。本当は夜にツーリングすると、299号沿いの『正丸峠』という山から綺麗な夜景も見ることができるんですけど、僕は怖くてあんな時間は走れません」

話を聞いた30代男性のバイク。1カ月前に納車したばかりだという。(撮影/集英社オンライン)
話を聞いた30代男性のバイク。1カ月前に納車したばかりだという。(撮影/集英社オンライン)

この日(8月11日)は、お盆休み初日ということもあり、夜の10時を回るころにはマフラー音を「ブンブン」とまき散らしながら走る、バイクや旧車といった「走り屋」も増えてきた。

記者も、そんな国道299号線で車を運転していた矢先、衝撃の光景を目の当たりにした。後ろから急接近してきたライダー2人組が、スピードを上げて一気に抜き去ってきたのだ。さらにそのライダーたちは、スピードをまったくゆるめることなく、車体ごとななめに倒してすごい勢いでカーブを曲がっていった――。

このような危険走行について、本人たちはどう考えているのか。走り屋たちがたむろする「道の駅」の駐車場でタバコを吸っていた男性(20才)は、こう語る。

「いやー、たしかに申し訳ないとは思ってますけど、楽しいもんは仕方ないじゃないですか〜(笑)。車とかバイクに興味ない人からすれば、たしかに迷惑かもしれませんが、ニッキュー(国道299号)は『走り屋の聖地』なんで、そこは理解していただきたい。
もともと自分は大の旧車マニアで、今日は彼女と『秩父ミューズパーク』の夜景を見に行くついでにニッキューを攻めにきたんすよ。ほら、この車かっこいいでしょ? 『スカイライン R33』っていうんですけど、サイレンサー(消音器)も取ってあるんで、爆音も鳴らせますよ。ドリ車(ドリフト走行できるように改造した車)なんで、今日もバチバチにコーナー攻めてきたっす」

道中いたるところに看板が…(撮影/集英社オンライン)
道中いたるところに看板が…(撮影/集英社オンライン)

この男性は高校卒業とともに二輪免許も取ったそうで、去年は違法改造したバイクで、国道299号によく遊びに行っていたという。

「ニッキューでは『イエローカット』したり、コーナーで『膝擦り』してみたり、いろいろとヤンチャしてましたね(笑)。もちろん警察に何度か追いかけられたこともあるんですけど、赤信号を突っ切ったり、道の途中でUターンして切り返せば、余裕で逃げられちゃうんすよね。でも、さすがにケガも何度かしちゃって、地元の5コ上の先輩は、バイクで150キロ出して曲がりきれずに滑って、腕から骨とび出たんでビビりました(笑)。それからは、旧車を買ったんで『大黒(大黒ふ頭)』でドリフトして遊んでるんですけど、やっぱり久々のニッキューは楽しいっすね。これからも定期的に来ようと思います」

話を聞いた20代男性の愛車「スカイライン R33」。カスタム済みでナンバープレートも外していた。(撮影/集英社オンライン)
話を聞いた20代男性の愛車「スカイライン R33」。カスタム済みでナンバープレートも外していた。(撮影/集英社オンライン)

迷惑行為への「反省」はまったくないようだ。