内山の二刀流は、僕らなりのチャレンジである
内山は、高校では2年の秋からしかマスクをかぶっていないし、コロナ禍だったため、3年生の時は対外試合の経験も少ない。だから、捕手については知らないことだらけだと思う。ひょっとしたら、古田さんにとって当たり前のことでも、理解できないことがあるかもしれない。もしそうだったとしても、勉強のひとつだと僕は思っている。
若手にとっては、知らないことを知ることが勉強になる。われわれが常識だと思っていることを、あえてかみ砕いて説明する必要はないと思う。理解したいなら、勉強するはずだ。そこで疑問を放置してしまう選手に未来はない。コーチたちからすれば、このレベルまで上がってこい――というメッセージなのだ。
2023年、内山には大いに経験を積んでもらい、将来へ向けての布石を打ってほしい。また、内山が外野を守ることで、他の選手たちの意識にも変化が起きることを期待している。危機意識を持つ選手もいるだろう。そうやって個々人の能力がアップしていけば、強いチームをつくることができる。
2023年の開幕戦で、内山はライトで先発出場した。ヒットも出た。チャンスでの凡退もあった。学んでくれればそれでいい。そしてライトで、レフトで、内山は好捕を見せている。彼の持っているポテンシャルを、ファンのみなさんは目撃している。
内山の二刀流は、僕らなりのチャレンジである。成功させる自信もある。選手の可能性を大いに広げるケーススタディにしたいと思っている。
写真/榊智朗