内山の二刀流は、僕らなりのチャレンジである

内山は、高校では2年の秋からしかマスクをかぶっていないし、コロナ禍だったため、3年生の時は対外試合の経験も少ない。だから、捕手については知らないことだらけだと思う。ひょっとしたら、古田さんにとって当たり前のことでも、理解できないことがあるかもしれない。もしそうだったとしても、勉強のひとつだと僕は思っている。

捕手と遊撃手での二刀流。高津監督の「内山壮真・育成プラン」を後押しした古田敦也の一言_4
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若手にとっては、知らないことを知ることが勉強になる。われわれが常識だと思っていることを、あえてかみ砕いて説明する必要はないと思う。理解したいなら、勉強するはずだ。そこで疑問を放置してしまう選手に未来はない。コーチたちからすれば、このレベルまで上がってこい――というメッセージなのだ。

2023年、内山には大いに経験を積んでもらい、将来へ向けての布石を打ってほしい。また、内山が外野を守ることで、他の選手たちの意識にも変化が起きることを期待している。危機意識を持つ選手もいるだろう。そうやって個々人の能力がアップしていけば、強いチームをつくることができる。

2023年の開幕戦で、内山はライトで先発出場した。ヒットも出た。チャンスでの凡退もあった。学んでくれればそれでいい。そしてライトで、レフトで、内山は好捕を見せている。彼の持っているポテンシャルを、ファンのみなさんは目撃している。

内山の二刀流は、僕らなりのチャレンジである。成功させる自信もある。選手の可能性を大いに広げるケーススタディにしたいと思っている。

写真/榊智朗

#1はこちら

『理想の職場マネージメント~一軍監督の仕事』(光文社)
高津臣吾
捕手と遊撃手での二刀流。高津監督の「内山壮真・育成プラン」を後押しした古田敦也の一言_5
2023年5月17日
990円
232ページ
ISBN:978-4-334-04665-1
セ・リーグ連覇、交流戦優勝、ゆとりローテーション、言葉の力――球界
に革新を起こす名将が、自らのマネージメント手法を克明に語る。3連覇に向けて、
「さあ、行こうか!」

「チーム一丸となって」――誰もが念仏のように唱えるが、その方法について
言及されることは少ない。その方法をずっと考えてきて、僕がたどり着いたの
は次の言葉だ。
「相手のことを思いやり、相手のことを知る」
組織の目標達成のために、個人は仕事をする。僕は監督としてチームを指揮す
る。とはいえ、監督はすべてを自分の思い通りにしていいわけではない。自分
の考えを押し付けてばかりでは、周りの人たちの仕事に対するモチベーション
は上がらないだろう。 そこで重要に
なるのは、一緒に仕事をする人たちが、組織のためにどうしたいと思っている
のかを想像することだ。(本文より)
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