意思疎通は難しいけれど、彼らなりの表現がある
「我が子の障がいをどうしても受け入れられない親御さんは乳児院にあずけます。そのため、乳児院に来る乳児の一定数に障がいがあるともいわれています。
しかし、濃厚な医療的ケア児は一般的な乳児院に入れず、医療機関に併設されている乳児院に行くこともあります」(今西氏)
乳児院を退所すると児童養護施設に移る障がい児も少なくない。2020年に厚労省が発表した「児童養護施設入所児童等調査」によると、障がいがある子どもの30%は乳児院、37%が児童養護施設に入所する。
病院や施設にあずけた子どもたちの親の対応はさまざまだ。面会に来る親、迎えに来る親もいるが、一度も親に会いに来てもらえない障がい児がいる現実はたしかにある。ある施設で勤務する職員が親に見放された子どもたちについてこう吐露する。
「社会はこういった子どもたちがいることをもっと知るべきだと思います。私たちもケアしますが、限界がある。親や家族の面会もなく、一日、天井を見て過ごす子どもたちを見て、何とも言えない気持ちになる。
たしかに意思疎通が難しいかもしれません。でも、彼、彼女なりの表現の仕方がある。それがわかって喜びに変わる支援者もいるんです」