第一次安倍政権以来のサラリーマン大増税のチャンス
こうした税制改正、増税が決められる一連の流れを踏まえると、今の段階で反対や懸念の声を大にしてあげておかないと、気がつけば大増税ということになりかねない。なんと言っても岸田政権は、“財務省政権”と揶揄されるほど財務省の言いなりだからだ。
岸田総理自身は長期政権を目指しているようだが、政権の行方など昨今の国内外の状況を踏まえればまったくわからない。だとすれば財務省が「岸田総理のうちに、岸田政権のうちにやれる増税はやっておかなければ」と考えるのも自然な流れだ。現在の日本経済社会が置かれた状況を踏まえてそれが正しいのか否かは別として――。
世に言われる「サラリーマン大増税」は、実はかつて(2005年)、石弘光会長(当時)のもと、政府税調において検討され、「個人所得課税に関する論点整理」として報告されたものと軌を一にするといっていい。
そのときは翌2006年9月に成立した第一次安倍政権において、石弘光氏が政府税調の職を事実上解任されたため実現せず、お蔵入りとなっていた。財務省からすれば、“リベンジ”の絶好のチャンスが再び到来したといったところだろう。
では、具体的にどのような影響が一般国民に、特にサラリーマンに及ぼされることになるのか?
まず、サラリーマンなら誰もがその恩恵を受けている、勤務費用の概算控除としての給与所得控除が、「相当手厚い」とされ、圧縮(減額)、または廃止される可能性がある。
「相当手厚い」のは「主要国」と比較しての話のようだが、「主要国」とは、自分たち(財務省)に都合がいい国だけが抽出されている可能性があるし、そもそもなぜ他国と比較する必要があるのか。日本独自の制度なり日本独自の運用、それでいいではないか。