僕はある部分では気が小さいんだけど、ある部分では神経が切れている。
――Twitterの人気の高さについて思うことはありますか。
最初は宣伝目的で始めたんですけど、ツイッターも書く欲求を吐き出す一つのツールだと考えていいんだと思ってやってます。そうしたらありがたいことにあれよ、あれよという間にフォロワーが増えていたという感じで。
妻からは「やめとけ」と言われながら、半分酔っぱらってよくのろけツイートをしてしまいます。リプでは「心温まりました」「癒やされました」って言ってくださる方もいますが、妻は「なんやこれ、ケッ」って思う人も絶対にいるからなって言うんです。僕も、その通りだと思います。だって、僕だって自分と同年代のオヤジがそんなつぶやきをしてたら、「何言ってるんだ。頭おかしいんじゃない」って思いますから。
まあ「ケッ」って思う人がいて当然で「佐藤二朗のTwitterは嫌い」という人がいるのが自然。それはそれでいいかなって思います。
――Twitterでは息子さんのこともかつてはネタにされていました。幼少期はウンコ、オナラ、チンチン、と一緒に喜んでいても、少しずつ成長してくると「お父さん、やめてよ」とはならないんですか?
完全になってますよ。たまに息子と商店街を歩いていて「お父さん、そろそろウンコ言おうか?」などと言うと「恥ずかしい」「もう、やめて」って言うんです(笑)。さすがに息子も大きくなり、ウンコもチンチンも喜ばなくなり、そこは嬉しさ半分、寂しさ半分ですが……。
精神年齢は完全に抜かれてしまい、息子も物心がついてきたので、息子のことは書かないように、と妻と約束してます。コラムなどで書くことがなくなると、どうしても自分の身の回りの話が多くなりますが、極力、息子のことは書かないようにしてます。
――坂東彌十郎さんのことをどう呼ぶべきか迷われたり、酔ったなかで余計なツイートをして俳優仲間の山田孝之さんに注意されたりなんてこともあったみたいですが……。下ネタやノロケを自由にツイートすることは、自らをテンパリストでビビリと自認する佐藤さんにとっては勇気のいることではないですか。
たしかに以前、俳優仲間からも「佐藤二朗は気が小さい俳優。そこがいい」みたいなことを言われたこともあります。ただ、気の小さいビビリが、清水の舞台から飛び降りるみたいに勇気を出してツイートしているわけではなく、全然そこに勇気はいらないんです。
一般論になってしまいますが、気が小さい人とか、こういう人、ああいう人っていうのは本当に一概には言えないなって思いますし、僕はある部分では気が小さいんだけど、ある部分では神経が切れているっていうか。
そういう意味では、気が小さい部分と、神経が切れている部分の差が激しいんですかね。「気が小さい」ことにより、普段の生活では困ることがたくさんありますが、気が小さいからこそできる芝居があるかもだからいいやと自分を受け入れてます(笑)。でも、本当のところは自分ではわかりません。
ただ、ツイートに関しては、ビビりの人がものすごい勇気を持って「ウンコ」ってつぶやくわけではなくて、そこにはなんのハードルもない。本当につぶやきたいから、つぶやいてる。それだけのことなんです。
取材・文/栗原正夫 撮影/井上たろう スタイリスト/鬼塚美代子(アンジュ)
ヘアメイク/今野亜季(A.m Lab)