登下校の見守り、休み時間の対応、部活動指導など、教師以外に誰がやってくれる
森上校長の覚悟に満ちた発言もあった。折しも、後述する国をあげての「学校における働き方改革」が並行して行われており、文科省から業務の棚卸し指示が教育委員会を通じてあった(図1-1)。しかしその文書を見た森上校長は、職員会議の冒頭、カメラの前にもかかわらず、次のように憤った。
「(国は)学校の業務を分類しました。しかしながら、分類だけしてあとは知らんという感じ。率直な感想を言いますと……現場のことをまるでわかっていない」後日、当時の思いを森上校長に尋ねると、次のように話した。
「責任を丸投げして、お金もつけない、人もつけない。結局現場で何とかしなさいというように感じられました。しかし登下校の見守り、休み時間の対応、部活動指導など、教師以外に誰がやってくれますか?学校現場は保護者や地域の期待を背負っていて、業務を減らすのはそう簡単ではない。そんなことよりも国がやるべきことは、給特法を廃止して残業にはちゃんとお金が支払われるようにする。そのことで業務量に見合った人と予算をつけるべきではないかということでした」
#2『「金や時間に関係なく子どもに尽くすべき」定額使い放題制の教師に強いる崇高な聖職者像…出退管理すらしない学校のヤバさ』はこちらから
#3『定時を超えた業務は「自発的行為」…もはや地獄のブラック教育現場と、全てを教師に丸投げした国・自治体・学者の大罪』はこちらから
#4『残念すぎる先生…働き方改革意識ゼロのブラック教育現場「そもそも時間・コスト管理していないから実態わからない」の末路』はこちらから
#5『教師は、教師になった人の人生を踏みにじる仕事…なぜ教員志望は減少しているのか「人がこんなに大事にされていないことに危機感」』はこちらから