ベテラン教員が大量退職と特別支援学級のニーズ高まり
教員の労働環境がいよいよ限界を迎えつつある。
各県内の教員が大幅に不足しており、1学級当たり児童数を増やすなど、子どもにも悪影響を及ぼそうとしている。
例えば沖縄県では、教員不足を背景に一部の公立小中学校で2023年度の1学級当たり児童数が35人から40人に引き上げられる可能性が出てきていた。山口県では、公立中の2、3年で1学級の生徒数の上限を35人から38人に増やすことが決まった。
教員不足が起きている理由はさまざまだが、ベテラン教員が大量退職を迎えたこと、特別支援学級のニーズが高まり、必要な教員数も増えていること、そして教員志望の学生が集まっていないことが大きい。
なぜ教員志望の学生は減少しているのか
文部科学省が2022年1月末に発表した調査結果によると、2021年4月時点で、全国の公立学校1897校で、2558人もの教員が不足。
2022年9月、文部科学省が公表した公立学校教員採用選考試験(2021年度実施)の調査結果によれば全体の競争率(採用倍率)は3.7倍と、1991年と同じ過去最低となった。さらに、小学校の競争率は2.5倍と過去最低を更新した。約10年前、2011年の4.5倍と比べると、半分近くの倍率にまでなっている。
なぜ教員志望の学生が減っているのか? 2022年、筆者が代表理事を務める日本若者協議会では、当事者である教員志望の学生(211人)を対象にアンケートを実施した。
それによると、志望者が減っている理由として、94%の回答者が「長時間労働など過酷な労働環境」を挙げた。さらに、2割の回答者は教員を目指すのをやめたと答えている。