「ビットコインは投機的な資産でしかなく、世界的規模で規制しなければならない」
暗号通貨の代表「ビットコイン」の先も見えてきた。
2022年5月にビットコイン相場が絶頂から(22年4月の64895ドル)下落し、32601ドル。およそ50%の暴落を演じた。その後も下落を続け2万ドルを割り込み、SVB倒産直後に投資家の狼狽買いがあって、一時期2万ドルを回復した。金を借りて投資していた中国人と韓国人に損害が出たという報道があった。
この時の暴落原因はEV(電気自動車)を主導するテスラがビットコイン支払いを拒否したからだ。テスラはビットコインでの支払いを受け付けると発表し、自らも15億ドルを投じたばかりだった。
中国はデジタル人民元の普及を目標としているため、21年秋にアリババ傘下の「アント」(庶民銀行でデジタル決済)の上場を延期させ、同時にアリババに3000億円の罰金を課した。さらに分社化を命じたため、先行きに不透明感が漂っていた。アントは消費者金融から手を引かざるをえなくなった。アリババのジャック・マーは海外へ出た。
G7財務相会議前後、主要国の中央銀行トップが申し合わせたようにビットコイン否定の談話を発表した。
ラガルドECB総裁は「投機的な資産でしかなく、世界的規模で規制しなければならない」とし、ECB幹部も「決済に多くは使われていない。ユーロ圏の金融機関も殆どは暗号通貨を保有していない。ECBが介入するほどのものではない」と問題外とする発言を繰り出した。
英国のジョンソン首相(当時)は「暗号通貨投資者は『自分で始末しろ』」と放言し、またベイリー英国中銀総裁は「暗号通貨には本質的な価値がない。投資すると資金を失う可能性を認識せよ」と発言、投資家の自己責任とした。
もっとも慎重なのは米国である。
ゲンスラー米SEC委員長は「投資家保護が市場健全化に必要だ。詐欺や価格操作から投資家を守る規則がない」とした。